さらば夏休み。
・西の河原
2日目はこの旅行のメインで、八ッ場ダムの完成に伴って湖底に沈む谷や周辺道路と、来月に付け替わる岩島~長野原草津口の新線を視察しに出かける。その前に、温泉街の中心地からさほど離れていない場所にある、西の河原の露天風呂へ。駐車場からは遊歩道を下っていくのだが、その途中から男湯が普通に見えるという謎の構造。女湯はどうなっているんだと思って見渡すと、いかにも遮蔽された感じの高台の木陰に隠匿されていたw 広大な風呂は開放的でなかなか良かった。
・ダムに沈む渓谷
昨夕来た道を引き返すのもつまらないので、入浴後は292号線の東側を走って山を下りる。途中、道の駅・六合に立ち寄って運転を交代した。六合を「くに」と読むのは、もはや難読地名の域を逸脱している感。ヘアピンカーブが連続するつづら折りの山道を下りた後は、145号線の旧道に入り川原湯の手前まで走る。頭上には、最も下流に架かる1号橋。完成はしているものの未供用であった。北側の山肌には145号線の新道が走っているので、暫定的な連絡道路を通って下界から上界へ移動する。上流へ引き返し、2号橋(不動大橋)のたもとにある道の駅・八ッ場ふるさと館に入る。
2号橋からは吾妻線を俯瞰撮影することができる。もう少し経つと湖底に沈む線路を、その湖面に架かる予定の橋から眺めるというのも、何とも皮肉な話である。橋は地上から90m近くの高さにあるようで、頼りない欄干越しに下を覗くと足がすくむ。しかしダム湖が出来上がった暁には、湖に架かるただの橋になるというのだから面白い。道の駅で昼食を挟みつつ、カイコガの幼虫のような出で立ちをした651系の特急草津と、湘南色115系の普通列車2本を撮影した。全景を雄大に写すも良し、望遠で箱庭みたいに切り取るも良し。
撮影後は新道を上流へ遡って3号橋(丸岩大橋)を走破した後、下流へ戻りいくつかの山を通り抜け、雁ヶ沢のランプから旧道へ下りる。ここは岩島~川原湯温泉にあたる区間で、日本一短い鉄道トンネルの樽沢トンネル(7.2m)がある。トンネルというよりも部分的に山肌が列車を覆うシェルターのように見える。この区間は水没こそ免れるものの、来月には南側の新線に付け替わってしまうため、トンネルを通る列車もじきに見られなくなる。道路沿いには多くの撮影者が集結していた。我々もそれに乗じ、上り特急草津を撮影する。考えてみれば651系はこの4月に初めて余生を過ごしに吾妻線へやって来たというのに、半年と経たないうちに旧線の風景に別れを告げるわけだ。
トンネルの後は、川原湯温泉の駅まで走る。空を見上げれば1号橋が高々と谷に架かっていて、やがて水底に沈むこの地を見下ろしている。駅は温泉街と一緒に高台へ移転するようだ。普通列車の交換には間に合わなかったので、少し待って下り特急草津を跨線橋から撮影した。その後、旧温泉街へと続く山道を登り始めたのだが、道路沿いにあったはずの建物は大部分が取り壊されていて、基礎だけを残した残骸になっている区画が多かった。廃墟となった町を見ていると心が寒い。この移転を機に廃業を決めた旅館も少なくないように思える。八ッ場バイパスの通る高台まで登りつめると、眼下には供用開始を待つピカピカの川原湯温泉駅が姿を現したのだった。
吾妻川の南側に走るバイパスを上流へ少し走った後、先ほど俯瞰撮影をしていた2号橋を渡って北岸の145号線の新道へ戻り、今度は岩島駅のそばまで下る。吾妻線の新線は長野原草津口を出た後すぐに川を渡ってトンネルに入り、川原湯温泉の新駅を経て、岩島の手前で旧線に合流するルートになっている。その合流地点を見に行った。ちょうど上り普通列車が来るようなので、新線の橋梁を絡めて撮影する。新線の方はなかなかの高規格と見え、架線柱もピカピカであった。
今日は特別に詳細な予定を立てていたわけではなかったが、上手い具合に見どころを押さえて回ることができている。最後は新しくなった川原湯温泉の共同浴場、王湯に入ることにした。岩島大橋を渡って再び南側へ渡り、八ッ場バイパスに入って西進する。川原湯温泉の新しい町はこのバイパス沿いにあり、辺りは目下温泉街の建設中。造成が進むがらんとした風景の中、真新しい王湯の建物がぽつんと佇む姿はなかなか異様に映る。先月にオープンしたばかりの浴場で、非常に快適であった。そろそろ時間も丁度良い頃になったので、長野原草津口へ帰って新線の分岐部を見た後、給油して車を返却した。
・宴会
帰りの吾妻線も107系という残念な乗り鉄。乗っている高崎行は昨日大前を往復したのと同じ列車だから、115系ではなく107系の運用になっているのかもしれない。新前橋で下車して宴会の買い出しをした後、まずは上野行の快速アーバンのグリーン車に乗車。井野からは元部長も合流してメンバーは4人に。しかし新前橋の時点でそこそこの乗車率で元々8席の区画が取れなかった上、徐々に混雑してきたこともあって、籠原で後続の普通に乗り換えることにした。こちらのグリーン車はガラガラで実に快適。上野までは2時間弱、マニアックな話に花が咲く。
そして、夏休みが終了。
写真
1枚目:ラスト・サマー(@川原湯温泉~長野原草津口)
2枚目:最短トンネル(@岩島~川原湯温泉)
3枚目:常磐特急の余生(@川原湯温泉)
3068文字
8/31
レンタカーによる移動
西の河原、道の駅・六合、湖面1号橋、道の駅・八ッ場ふるさと館
昼食
撮影(湖面2号橋)
3001M[1228] 特急草津1号 651系7連
533M[1300] 普通 115系3連
534M[1309] 普通 115系3連
湖面3号橋(丸岩大橋)、雁ヶ沢ランプ
撮影(樽沢トンネル)
3032M[1400] 特急草津32号 651系7連
撮影(川原湯温泉駅)
3003M[1436] 特急草津3号 651系7連
川原湯温泉街、湖面2号橋(不動大橋)
撮影(岩島駅付近)
538M[1520] 普通 115系3連
岩島大橋、川原湯温泉街(新)、王湯
長野原草津口1727 → 新前橋1846
吾妻線542M クモハ107-113
新前橋1925 → 籠原2007
上越線・高崎線・東北本線3942M 快速アーバン サロE232-3019
籠原2018 → 上野2130
高崎線・東北本線972M サロE233-3031
上野2143 → 秋葉原2146
山手線2109G サハE231-4641
秋葉原2152 → 信濃町2206
中央・総武緩行線2129B サハE231-119
・西の河原
2日目はこの旅行のメインで、八ッ場ダムの完成に伴って湖底に沈む谷や周辺道路と、来月に付け替わる岩島~長野原草津口の新線を視察しに出かける。その前に、温泉街の中心地からさほど離れていない場所にある、西の河原の露天風呂へ。駐車場からは遊歩道を下っていくのだが、その途中から男湯が普通に見えるという謎の構造。女湯はどうなっているんだと思って見渡すと、いかにも遮蔽された感じの高台の木陰に隠匿されていたw 広大な風呂は開放的でなかなか良かった。
・ダムに沈む渓谷
昨夕来た道を引き返すのもつまらないので、入浴後は292号線の東側を走って山を下りる。途中、道の駅・六合に立ち寄って運転を交代した。六合を「くに」と読むのは、もはや難読地名の域を逸脱している感。ヘアピンカーブが連続するつづら折りの山道を下りた後は、145号線の旧道に入り川原湯の手前まで走る。頭上には、最も下流に架かる1号橋。完成はしているものの未供用であった。北側の山肌には145号線の新道が走っているので、暫定的な連絡道路を通って下界から上界へ移動する。上流へ引き返し、2号橋(不動大橋)のたもとにある道の駅・八ッ場ふるさと館に入る。
2号橋からは吾妻線を俯瞰撮影することができる。もう少し経つと湖底に沈む線路を、その湖面に架かる予定の橋から眺めるというのも、何とも皮肉な話である。橋は地上から90m近くの高さにあるようで、頼りない欄干越しに下を覗くと足がすくむ。しかしダム湖が出来上がった暁には、湖に架かるただの橋になるというのだから面白い。道の駅で昼食を挟みつつ、カイコガの幼虫のような出で立ちをした651系の特急草津と、湘南色115系の普通列車2本を撮影した。全景を雄大に写すも良し、望遠で箱庭みたいに切り取るも良し。
撮影後は新道を上流へ遡って3号橋(丸岩大橋)を走破した後、下流へ戻りいくつかの山を通り抜け、雁ヶ沢のランプから旧道へ下りる。ここは岩島~川原湯温泉にあたる区間で、日本一短い鉄道トンネルの樽沢トンネル(7.2m)がある。トンネルというよりも部分的に山肌が列車を覆うシェルターのように見える。この区間は水没こそ免れるものの、来月には南側の新線に付け替わってしまうため、トンネルを通る列車もじきに見られなくなる。道路沿いには多くの撮影者が集結していた。我々もそれに乗じ、上り特急草津を撮影する。考えてみれば651系はこの4月に初めて余生を過ごしに吾妻線へやって来たというのに、半年と経たないうちに旧線の風景に別れを告げるわけだ。
トンネルの後は、川原湯温泉の駅まで走る。空を見上げれば1号橋が高々と谷に架かっていて、やがて水底に沈むこの地を見下ろしている。駅は温泉街と一緒に高台へ移転するようだ。普通列車の交換には間に合わなかったので、少し待って下り特急草津を跨線橋から撮影した。その後、旧温泉街へと続く山道を登り始めたのだが、道路沿いにあったはずの建物は大部分が取り壊されていて、基礎だけを残した残骸になっている区画が多かった。廃墟となった町を見ていると心が寒い。この移転を機に廃業を決めた旅館も少なくないように思える。八ッ場バイパスの通る高台まで登りつめると、眼下には供用開始を待つピカピカの川原湯温泉駅が姿を現したのだった。
吾妻川の南側に走るバイパスを上流へ少し走った後、先ほど俯瞰撮影をしていた2号橋を渡って北岸の145号線の新道へ戻り、今度は岩島駅のそばまで下る。吾妻線の新線は長野原草津口を出た後すぐに川を渡ってトンネルに入り、川原湯温泉の新駅を経て、岩島の手前で旧線に合流するルートになっている。その合流地点を見に行った。ちょうど上り普通列車が来るようなので、新線の橋梁を絡めて撮影する。新線の方はなかなかの高規格と見え、架線柱もピカピカであった。
今日は特別に詳細な予定を立てていたわけではなかったが、上手い具合に見どころを押さえて回ることができている。最後は新しくなった川原湯温泉の共同浴場、王湯に入ることにした。岩島大橋を渡って再び南側へ渡り、八ッ場バイパスに入って西進する。川原湯温泉の新しい町はこのバイパス沿いにあり、辺りは目下温泉街の建設中。造成が進むがらんとした風景の中、真新しい王湯の建物がぽつんと佇む姿はなかなか異様に映る。先月にオープンしたばかりの浴場で、非常に快適であった。そろそろ時間も丁度良い頃になったので、長野原草津口へ帰って新線の分岐部を見た後、給油して車を返却した。
・宴会
帰りの吾妻線も107系という残念な乗り鉄。乗っている高崎行は昨日大前を往復したのと同じ列車だから、115系ではなく107系の運用になっているのかもしれない。新前橋で下車して宴会の買い出しをした後、まずは上野行の快速アーバンのグリーン車に乗車。井野からは元部長も合流してメンバーは4人に。しかし新前橋の時点でそこそこの乗車率で元々8席の区画が取れなかった上、徐々に混雑してきたこともあって、籠原で後続の普通に乗り換えることにした。こちらのグリーン車はガラガラで実に快適。上野までは2時間弱、マニアックな話に花が咲く。
そして、夏休みが終了。
写真
1枚目:ラスト・サマー(@川原湯温泉~長野原草津口)
2枚目:最短トンネル(@岩島~川原湯温泉)
3枚目:常磐特急の余生(@川原湯温泉)
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