ボストンの週末 その2
ボストンの週末 その2
ボストンの週末 その2
旅先で迎える朝は、すがすがしい。朝食のパンを食べてココアを飲みながら、各方面へのメールを返して雑務を終える。

フリーダム・トレイル(Freedom Trail)
大した下調べもしないままこの街に来てしまったのだが、とりあえずフリーダム・トレイルという、ボストンの16の歴史的名所を回ることができるモデルコースを歩くことにした。ボストン・コモン(Boston Common)のビジターセンター前がスタート地点で、ルートにあたる街路や小径には赤い線が引かれている。この線をたどって行けば、効率的に名所を巡れるという仕組みである。中2の秋だったか、『物語アメリカの歴史』という中公新書が社会の教材になっていた気がするが、たとえばこの本を渡米前に読んでおけばボストン観光は数段面白かったかもしれない。地図には色々と名所の解説が書いてあるのだが、「サミュエル・アダムズ(Samuel Adams)って誰だよ・・・」というレベルの背景知識だったので、全てが「へえー」で終わってしまったのが残念であった。どうでも良いが、彼と同じ名前のボストン産ビールはなかなか美味しい。むろん、レンガ造りの古い街並みを眺めながらぶらぶらと歩き、ファインダーを覗くだけでも十分楽しい時間である。

週末ということもあってか、街にはそれなりの人で賑わっている。アメリカでも有数の古い街とあって、国内の観光客と思しき人が多いのは面白い。極端な例えかもしれないが、日本で言えば京都や奈良へ観光に来ているような感覚なのだろう。16か所を律儀に回り、最後はバンカー・ヒル(Bunker Hill)のモニュメントでゴール。気が付けば13時を過ぎ、出発から4時間弱が経過していた。

午後
ボストンの見どころはだいたい徒歩圏内に凝縮しているので、再び歩いてチャールズ(Charles)川を渡り、市の中心部に戻る。ファニエル・ホール(Faneuil Hall)のそばにあるマーケットでそれなりにボリュームのあるチキンサンドを食べた後、昼下がりはMGHへ向かう。昨日案内して頂いた病院のギフトショップでグッズを買い、エーテル・ドームの入っている建物の外観を撮りつつ前庭でまったりして時間を過ごす。その後は地下鉄を使ってボストン美術館へも足を伸ばしたのだが、1時間強しか残されていないのに入館料の$23は割に合わないと思い、観覧は断念した。木陰のベンチに座って、ぼけーっと過ごすのも良いものである。

帰路
サウス駅を17時10分に出るアセラ・エクスプレス(Acela Express)でボストンを去る。切符はなんと往路のNortheast Regionalの倍額以上するのだが、4時間15分の所要が3時間半に縮まるだけなので、値段に見合う速達性かと言われると微妙なところである。それに新幹線やTGVのように専用線を持っているわけでもないので、ニューヨークが近くなってくると通勤列車と共用の線路でノロノロと走る。座席は全てビジネスクラス以上の設定なのでそこは快適なのだが、それでも一回乗れば十分といったところか。まあ明日からは再び日常が待っているので、なるべく早くマンハッタンに帰るに越したことはない。

ミスティックからオールド・セイブルックまではしばしば車窓に大西洋が現れる。アセラは海岸線を猛然と駆け抜けてこの辺りの小駅をみな飛ばしてしまうのだが、厚い雲間から時おり差し込む夕刻の斜光線に照らされながら、船の群れで埋め尽くされた幾多ものハーバーが眼前を通り過ぎて行く。そして、ニューヨークへ着く頃にちょうど日没となる。夜の帳の下りた34丁目のコリアンタウンでひとり夕食をとった後、今や住み慣れた125丁目の居室へと無事に帰還したのだった。

写真
1枚目:ファニエル・ホールとサミュエル・アダムズ像
2枚目:コップスヒル(Copp’s Hill)墓地
3枚目:ミスティックの車窓

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