・日々漸進
3週目ともなるとずいぶん慣れてくる。どのように過ごすのが最も有意義なのか、だんだん分かってきたように思う。同僚の留学生、当地の医学生との関係も良好。そして今週から登場したレジデントの長はそれなりに良い人で、留学生もちゃんと気にかけてくれる。大幅に環境が改善した感。そして先週の後半と同様、診察とカルテに挑む。しかしながら、やっていることはレジデントの真似事の域を出ない。身体所見はともかく、A/P、とくに治療薬の選択については全く無力。チームの一員として自分の意見や方針を表明するという段階には程遠い。まあ、日本のポリクリでやっていなかったことを、いきなりこっちでやるというのは無茶な話なのかもしれない。確か循環器内科は先の「チームの一員として…」という到達目標を提示していたような覚えがあるが、一体どれだけの学生がそれを達成しているのだろう。少なくとも自分はできなかったが、それはポリクリに対する考えが甘すぎたということなのだろうか。まあ何にせよ、よっぽど特殊な場合を除いては、日本語でさえできなかったことが、英語でできるとは考えにくい。全病棟患者を把握し、それぞれのA/Pについて十分理解していたことがこれまであったか。しかし今は同じことを英語でやろうとしているわけなので、正直なところ回診のスピーディーな議論についていくだけで精一杯である。しかしこういう経験が糧になると信じて、毎日速い英語に耳をそば立てているわけだ。
・小児神経とは
脳腫瘍とかSMAが見られるのかと思いきや、主訴の大半はseizureで、どこもかしこもseizure。したがって、議論の大半はてんかんの症候学・病因論、抗てんかん薬の使用、それに脳波の読図。神経内科のレジデントも「てんかん発作以外の患者は入って来ないのか?」と半ば嘆いていたw 一方で、内科の症例発表やクルズスもスケジュールに組み込まれており参加することになっている。morning reportと称する発表会は実に興味深い内容で、小出しにされる病歴や身体所見、検査値や画像をもとに鑑別診断を考えていく。両下肢の筋痛と歩行困難、左三叉神経麻痺、右顔面神経麻痺。答えはライム病。レジデントを対象とした神経診察のクルズスも面白い内容であった。神経といえばこういうのを期待していたのだが、小児神経は全くの別物。しかしてんかんや脳波も考えようによっては深い未知の領域で、金曜に大教室で開かれた研究の講義などは興味をそそられるものであった。どの分野にも概ね当てはまることかもしれないが、科学的な関心と臨床的な面白味はしばしばかけ離れたところにある。
・英語
回診で言っていることの半分くらいは分かるようになってきたか。一番聴解しやすいのは、アテンディングが患者家族へ行う説明。ただ、日常的にぱっぱっと交わされる速い会話は回診の議論以上に聴き取りにくい。しかも自分の返答は遅く、しどろもどろで要領を得ない。やはり、書く論理と話す論理は全くの別物であることを改めて実感する。書ければ話せるというわけではないし、読めれば聴けるというわけでもない。まあ、日本語でも会話やプレゼンがお世辞にも上手いとはいえないことを考えれば、日本語以上にoralな側面が強い英語ではさらにその辺りが際立つのかもしれない。単純なものに限って言えば会話は一種の反射みたいなもので、いかに多くの音のレパートリーを即座に操れるかということになるのだと思う。その過程に、読解や作文という要素が介在していてはいけないのだ。
今週の昼食はほぼ全てタダ飯であったw 金曜の夜は前に行った韓国料理屋でビビンバを食べながら、ささやかにビールを飲む。
写真
1枚目:『星月夜』
2枚目:アラスカグマ
3枚目:トランジット・ミュージアム
1670文字
3週目ともなるとずいぶん慣れてくる。どのように過ごすのが最も有意義なのか、だんだん分かってきたように思う。同僚の留学生、当地の医学生との関係も良好。そして今週から登場したレジデントの長はそれなりに良い人で、留学生もちゃんと気にかけてくれる。大幅に環境が改善した感。そして先週の後半と同様、診察とカルテに挑む。しかしながら、やっていることはレジデントの真似事の域を出ない。身体所見はともかく、A/P、とくに治療薬の選択については全く無力。チームの一員として自分の意見や方針を表明するという段階には程遠い。まあ、日本のポリクリでやっていなかったことを、いきなりこっちでやるというのは無茶な話なのかもしれない。確か循環器内科は先の「チームの一員として…」という到達目標を提示していたような覚えがあるが、一体どれだけの学生がそれを達成しているのだろう。少なくとも自分はできなかったが、それはポリクリに対する考えが甘すぎたということなのだろうか。まあ何にせよ、よっぽど特殊な場合を除いては、日本語でさえできなかったことが、英語でできるとは考えにくい。全病棟患者を把握し、それぞれのA/Pについて十分理解していたことがこれまであったか。しかし今は同じことを英語でやろうとしているわけなので、正直なところ回診のスピーディーな議論についていくだけで精一杯である。しかしこういう経験が糧になると信じて、毎日速い英語に耳をそば立てているわけだ。
・小児神経とは
脳腫瘍とかSMAが見られるのかと思いきや、主訴の大半はseizureで、どこもかしこもseizure。したがって、議論の大半はてんかんの症候学・病因論、抗てんかん薬の使用、それに脳波の読図。神経内科のレジデントも「てんかん発作以外の患者は入って来ないのか?」と半ば嘆いていたw 一方で、内科の症例発表やクルズスもスケジュールに組み込まれており参加することになっている。morning reportと称する発表会は実に興味深い内容で、小出しにされる病歴や身体所見、検査値や画像をもとに鑑別診断を考えていく。両下肢の筋痛と歩行困難、左三叉神経麻痺、右顔面神経麻痺。答えはライム病。レジデントを対象とした神経診察のクルズスも面白い内容であった。神経といえばこういうのを期待していたのだが、小児神経は全くの別物。しかしてんかんや脳波も考えようによっては深い未知の領域で、金曜に大教室で開かれた研究の講義などは興味をそそられるものであった。どの分野にも概ね当てはまることかもしれないが、科学的な関心と臨床的な面白味はしばしばかけ離れたところにある。
・英語
回診で言っていることの半分くらいは分かるようになってきたか。一番聴解しやすいのは、アテンディングが患者家族へ行う説明。ただ、日常的にぱっぱっと交わされる速い会話は回診の議論以上に聴き取りにくい。しかも自分の返答は遅く、しどろもどろで要領を得ない。やはり、書く論理と話す論理は全くの別物であることを改めて実感する。書ければ話せるというわけではないし、読めれば聴けるというわけでもない。まあ、日本語でも会話やプレゼンがお世辞にも上手いとはいえないことを考えれば、日本語以上にoralな側面が強い英語ではさらにその辺りが際立つのかもしれない。単純なものに限って言えば会話は一種の反射みたいなもので、いかに多くの音のレパートリーを即座に操れるかということになるのだと思う。その過程に、読解や作文という要素が介在していてはいけないのだ。
今週の昼食はほぼ全てタダ飯であったw 金曜の夜は前に行った韓国料理屋でビビンバを食べながら、ささやかにビールを飲む。
写真
1枚目:『星月夜』
2枚目:アラスカグマ
3枚目:トランジット・ミュージアム
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