北陸旅行 2日目
北陸旅行 2日目
北陸旅行 2日目
冬の金沢へ。
2/9
阿尾850 → 氷見駅口859
加越能バス 富山230あ15

氷見915 → 高岡945
氷見線530D キハ40 2135

高岡1032(+2) → 金沢1111(+2)
北陸本線426M モハ456-18

金沢観光
(ひがし茶屋街、兼六園、鈴木大拙館、金沢21世紀美術館)

源左エ門

ホテルエコノ金沢 泊

さらば氷見
打って変わって、海は穏やかな表情である。水平線の近くは鉛色の雲が垂れ込めているが、空高くには冬の青空が少しばかりのぞく。右手のはるか遠くには伏木の工業地帯から立ち上る煙がたなびき、海面は逆光をまぶしく反射してちりちりと煌めいている。昨日の陰鬱な雨と雪が嘘のような、すがすがしい朝である。一階の廊下には大きな窓ガラスから朝日が差し込み、ぽかぽかと暖かい。質素ながらも美味しい朝食を頂き、宿を後にする。23歳の男3人組が東京から来たと知るとたいそう驚いたようで、ぜひまたいらして下さい、とのことであった。我々の他には中年女性のグループが宿泊していたが、どうやら県内のお客さんだったらしい。

宿からすぐのバス停から高岡駅行の路線バスに乗り、氷見駅口で下車。日曜日の氷見市街は人通りもまばらで、商店街はひっそりとしていた。バス停から駅までは分かりにくい道を3分ほど歩かねばならない。9時15分発の高岡行は単行だったが、バスツアーの乗客がわんさか乗ってきて超満員。ホームで写真を撮った後に乗り込んだら座れなくなってしまった。きっとバスは高岡まで先回りして、そこで再び彼らを拾っていくのだろう。車両はといえば、忍者ハットリくんのラッピング列車であった。高岡は藤本弘(藤子・F・不二雄)、氷見は安孫子素雄(藤子不二雄Ⓐ)の出身地である。安孫子の代表作、忍者ハットリくんは氷見線と氷見市のキャラクターに起用され、町興しの一翼を担う。また藤本と安孫子の二人が出会った定塚小学校は氷見線のすぐそばにあり、高岡に到着する直前の車窓からよく見える。後に結成されるコンビ「藤子不二雄」発祥の地である。

金沢へ
高岡での接続はやはり悪く、小一時間待たないと普通列車は来ない。適当に駅撮りをしながら時間をつぶす。行き交うのは681系、683系ばかり。北越の本数が少ないので485系はなかなかお目にかかれない。やがて入線してきた金沢行普通列車は457系。一枚ドアのデッキ、整然と並んだ車窓。急行形の面影を今に残す車両である。デカ目の造形はなかなか面白く、色々な構図で切り取っても飽きることがない。数多くの急行列車が行き交っていた時代、長大編成を組んで北陸本線を疾走していた姿に思いを馳せる。

ひがし茶屋街
金沢駅は鼓柱が印象的な近代建築の駅舎。ねじれの位置にある軸を中心に直線を一回転させると、単双曲面ができるわけだ。その奥には、「2015年春 北陸新幹線金沢開業」の垂れ幕がでかでかと掲げられていた。まずは駅前の安いビジネスホテルに荷物を預けた後、徒歩で観光に繰り出す。最初に目指すはひがし茶屋街。観光案内所で手に入れた地図を頼りに、ぶらぶらと東進する。雪はあまり積もっておらず、雨が降ったり止んだりの空模様。小橋で浅野川を渡り、右岸へ。そこから少し南進すれば、卯辰山のふもと、ひがし茶屋街に到着である。茶屋建ての建物がずらりと並ぶさまは壮観だが、この天気にもかかわらず多くの人でにぎわっていて、観光地化されている感はある。和菓子とか小物とかの土産物屋がそこかしこにあり、ちょこちょこ買い物をするなら面白いのかもしれない。まあ「女子旅」で金沢が人気なのも納得できるw 実際、そういうグループをたくさん見た。

昼食をこの近辺で、と思い、茶屋街のはずれにある混んでなさそうな定食屋に足を踏み入れたが、席についても接客というものが全くなく、他の二組の客を見るにテーブルに料理が登場していない。こういう地雷を踏むのも旅行にありがちなことで、早々に店を出て兼六園の方へ向かうことにした。道中、浅野川大橋を渡る手前の酒屋で「手取川」山廃純米を仕入れる。そして川の下流、左岸に目をやれば、主計(かずえ)町の茶屋街がひっそりと佇む。5年前の12月に訪れたときの景色が蘇る。黄昏にともる提灯、まばらな人通り。ひがしよりもこちらの方が落ち着いていて趣深い。

兼六園
15分も歩けば、兼六園下の交差点に到着である。しかし腹が減ったので、近くにある福天という天ぷら屋でそばと天丼を食する。どうでも良いけど、店員さんが美人だったw 料理の味も二割増しくらいになる。金沢城公園との間にある坂を登りつめ、桂坂の入口から兼六園へ。ここも5年前に訪れたことがあるが、あの時と違って雪が少し残っているのが良い。有名なことじ灯籠、虹橋、霞ヶ池を中心に、40分ほどでざっと回る。やはりここは綺麗な庭園で、桜の季節、池に浮かぶ内橋亭で花見酒が出来たらこれほど優雅なことはなさそうだ。そして、傘を広げたような雪吊りの造形は被写体として面白いものだった。

鈴木大拙館
真弓坂から兼六園を出て、次なるは鈴木大拙館。建築が見ものという前情報で足を運んでみた。こういう方面の知識がなさすぎて谷口吉生の名を聞くのも初めてだったが、色々調べてみたら相当な巨匠らしい。ここはやはり「水鏡の庭」という浅い水面に「思索空間」の建物が浮かんでいる様子が圧巻。「思索空間」は見たところ完全な立方体なのだが、実際はどうなのだろう。曲線の要素が一切排された、極めて直線的、座標空間的な構成が印象的である。そして「思索空間」は中心にどかんと鎮座しているわけではなく、「外部回廊」とひと続きになった、絶妙な非対称性の中にある。これで全体として均整がとれて見えるのは、何か数学的な根拠があってのことなのか、それとも人間の固有感覚によるものなのか。いずれにせよ、安定した空間であることに変わりはない。どういう建築材を使っているとか、どういう力学になっているとか、そういうのはのすり氏の専門ですかね・・・素人目にも、この世界は奥が深そうだ。

金沢21世紀美術館
夕方は21世紀美術館へ。ボーダーライン・コレクション展Ⅱと、書の道”ぱーっ”を観覧する。ボーダーラインの方は、一部はそれなりに分かりやすい作品もあったが、解説がないと全く意味が分からない。しかし貪るように現代美術を見続けていれば、果たして目が肥えてきてメッセージを読み取れるようになるのか否か。解説を読んでも、「そう言われれば、まあそうなのか」という理解に終わるのだった。一方、書の方は比較的親しみやすいテーマでなかなか面白かった。注目すべきは漢字が表意文字であるという点で(表意文字か表語文字かはcontroversialのようだが)、形と意味の両方に表現性を持たせているからこそ作品として成り立っているものが多いように思う。アルファベットで同じようなことをやっても、どうしようもないだろう。

金沢の夜
そろそろ黄昏時だ。香林坊のデパートで3本目の日本酒「宗玄」を仕入れる。喫茶店で時間をつぶしてから、18時に源左エ門という飲み屋へ足を運んだ。まずは舟盛り、そしてブリのカマ焼き、ブリ大根、白子、じぶ煮、天ぷらなどなど。加賀鳶、手取川、常きげん、加賀ノ月。どれもきりっと澄んでいながら芳醇、素晴らしい食中酒である。昨夜に続き、今夜も晩餐。美食と美酒に囲まれた、至福の冬の旅である。

二次会は近くのバーへ。金沢の夜が更けてゆく。

写真
1枚目:ひがし茶屋街
2枚目:兼六園、ことじ灯籠
3枚目:宴

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