日本海旅行 3日目 Part 1
日本海旅行 3日目 Part 1
日本海旅行 3日目 Part 1
厳冬の朝。
12/29
深浦611 → 驫木625
五能線3825D 快速深浦 キハ48 1522

撮影(驫木駅俯瞰):
520D[724] 普通列車(キハ40 2連)

驫木
深浦の町は夜明け前のしじまに包まれている。切りつけるような寒さ、暗黒の海。ゆうべは少し積もったようだ。ナトリウムランプに染まった雪道に足跡をつけながら駅へ向かう。2両編成の快速深浦は既に停車していた。快速といっても五能線内は普通列車である。この列車は弘前行だが、鰺ヶ沢で青森行を連結するようだ。車両は片開き式の2扉で、デッキ付き。五能線の厳しい冬を物語る、寒地仕様のキハ48である。暖房のよく効いたガラガラの客室に足を踏み入れた。

下車したのは3駅先の驫木駅。「東京都区内→驫木」の行程がここに終了した。驫木は日本海に面した棒線の小駅で、1日に停まる列車は上下それぞれ5本のみである。未明の海風がじかに吹き付けるホームは厳しい寒さで、簡素な駅舎でしばらく休憩してから撮影地へ移動することにした。やがて空は徐々に青色に染まり、日の出へ向けて刻一刻と表情を変えてゆく。先ほどまで真っ黒だった海はひと筋の水平線を描くようになり、海面には白波が強大な力でうごめいているのも見える。濃密な寒色の世界がふいに目の前に姿を現したかのようだ。

駅前を走る大間越街道は国道の旧道と見え、山側を回る101号線からは外れて驫木の集落へと向かう。駅を出て南へ向かうとすぐに坂道になり、その途中から駅と線路を小俯瞰する。左手には厳冬の日本海。線路に寄り添ってぽつんと佇む駅舎は哀愁を感じさせる。辺りはかなり明るくはなったとはいえ、西向きの海岸はまだ暗闇を引きずっている。凍えながらファインダーを覗いていると、列車は10分遅れでようやく姿を現した。ブルーグレーの景色に、2灯のヘッドライトが燦然と煌めく。鉄道が生きていることを実感する瞬間である。列車は束の間の停車の後、再び動き出して足下のストレートをゆっくりと通過してゆく。寒々しい蒼白の海を眺めながら、今日も列車は走っている。五能線の冬だ。

写真
1枚目:未明の驫木に到着
2枚目:停車
3枚目:海岸線をゆく

1011文字

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