南九州撮影行 1日目
南九州撮影行 1日目
南九州撮影行 1日目
南九州へ飛ぶ。
9/14
東京・羽田(HND)820 → 鹿児島(KOJ)1005
ソラシドエア71便(SNA071)

鹿児島空港 → 撮影地
妙見タクシー

撮影(中福良~表木山):
※車両表記は左が八代方
4224D[1049] 普通列車 キハ40 8050
4229D[1115] 普通列車 キハ140 2061

撮影(表木山):
4226D[1159-1208] 普通列車 キハ140 2061
6021D[1207] 特急はやとの風1号 キハ147 1045+キハ47 8092

撮影(表木山~日当山):
4231D[1242] キハ47 8158+キハ47 9077

表木山1311 → 大隅横川1337
肥薩線2930D キハ47 8158

撮影(栗野~大隅横川):
2929D[1414] 普通列車 キハ40
6024D[1442] 特急はやとの風4号 キハ147 1045+キハ47 8092

大隅横川1520 → 栗野1530
肥薩線4228D キハ147 106

撮影(吉松~栗野):
4233D[1552] 普通列車 キハ147 106+キハ40 2068
4235D[1642] 普通列車 キハ140 2061
2934D[1705] 普通列車 キハ47 8126+キハ147
4230D[1755] 普通列車 キハ147 106+キハ40 2068

栗野1837 → 隼人1921
肥薩線4237D キハ47 9077

隼人1938 → 鹿児島中央2021
日豊本線・鹿児島本線6961M クハ816-1006

鹿児島中央2040 → 指宿2147
指宿枕崎線1361D キハ200-7

今村温泉入浴

指宿2304 → 山川2311
指宿枕崎線1363D キハ200-10

山川泊(くりや)

突如、非日常へ
南国の空港に降り立ってから1時間と経たないうちに、我々は山間の撮影地でキハ40の単行列車をファインダー越しに覗いていた。九州の地はまだまだ暑い。しかし、稲刈り間近の田んぼの脇に咲くヒガンバナは9月を告げている。

空港を出てすぐタクシーに乗り、中福良駅方面へ向かうようお願いした。「嘉例川の方へは立派な道があって何回か行ったことあるんだけど、中福良は分からないなあ」とのことだったが、GPSを頼りにまずは空港の裏側へと回ってもらう。滑走路をくぐってしばらく走るといきなり牛舎が姿を現し、道路は農道のような狭さになった。しかし地図の示す通りに暗い林の中へ入り、ぐにゃぐにゃと曲がる狭隘な山道を下っていく。空港から5分と経たないうちにこんな山奥に来てしまった。やがて、肥薩線の線路が姿を現した。少し中福良方面に向かうと景色が開け、アウトカーブの鉄路が山間部の水田地帯を優雅に横切っている。ここはもう、撮影地だ。タクシーが行ってしまうと、そこにはただ九州の暑い9月の風景が広がるのみであった。空路で鉄道撮影に行くのは初の試みであったが、それにしても、まさかここまで唐突に非日常に放り込まれるとは、本当に驚いた。

今回の撮影行は、英国から帰国した日の夜に急遽決定したものである。九州のキハ40系列の姿を収める、またとない機会だ。思い立ったときに動かねば永久に悔いが残ってしまう。残席数わずかだったソラシドエアの学割を早速確保したのであった。

表木山
アウトカーブの撮影地で単行2本を撮った後は、表木山へ移動する。時おり雲の奥から聞こえてくる轟音は、鹿児島空港に発着する飛行機の音である。ひとつ山を隔てたところに空港があるわけだが、そんなことなど想像もつかないような風景である。表木山駅は草むした線路が印象的な山間の小駅。深緑色の森をバックにして、緑の絨毯の上にぽつんと佇む単行列車の姿は絵になる。特急はやとの風は漆黒の塗装を見に纏う重厚な出で立ち。普通列車と交換した際、黒光りする側面に九州カラーがぎらりと映り込んだのは意外な美しさであった。日当山方面に少し歩いたところにある切通し地点で下り列車を撮った後、列車で移動する。

大隅横川
この駅は嘉例川と並ぶ、鹿児島県内最古の木造駅舎である。柱には、太平洋戦争中に受けた機銃掃射の跡が残されている。駅舎はなかなか立派な造りで、肥薩線の雰囲気に実に良く合っている。駅から栗野方面へ歩くこと30分、湧水町に入る。本当はトンネル飛び出しの構図を狙ってここまでやってきたのだが、どう見ても線路に近づけるような場所ではなく、やむなく跨線橋から俯瞰することになった。これはこれで深い山奥のような雰囲気が出て面白い。しかし、気温が最も上がる時間帯にてくてく歩いてきたため、ずいぶんと体力を削がれた。コンビニで2リットルのグリーン・ダカラを買って、水分補給を行う。

川内川橋梁
本日最後の撮影地は、吉松~栗野間の川内川橋梁である。至ってシンプルなガーダー橋だが、1両や2両の列車を収めるのにはちょうど良い。撮影したのは計4本。1本目は並走する道路橋から側面を狙い、2本目は吉松側のたもとから列車を見上げた。3本目はやはり橋のたもとから、今度は線路と同じ高さで構えてみたものの、背景はごちゃごちゃで、2両編成はずでーんと斜めに間延びするという、まるで中学生の鉄道写真みたいになってしまった。最後の列車は外せないということで、今度は栗野側のたもとから俯瞰する形で後追いに懸ける。日没が近くみるみるうちに太陽光が弱まっていく中、通過直前まで色彩と露出を調整して何とか思い通りの一枚になったか。この報われた感じがあるからこそ、鉄道撮影は面白い。

指宿へ
今晩は山川に宿を取っている。黄昏の栗野駅から「栗野→西大山」の学割乗車券を使い、ひたすら薩摩半島を目指して南下していく。すでに車窓は一面の闇。今日一日の撮影を振り返りながら、しばしの愉悦に浸る。鹿児島空港は、市内に出るのであれば不便な立地なのだろうが、肥薩線の撮影を行うのであればこれほどアクセスの良い空港はない。今朝はまだ東京にいたとは思えないほど、効率の良い撮影プランであった。鹿児島中央で駅弁とビールを買い、指宿枕崎線の車内でささやかな酒宴を楽しみつつ、山川の一つ手前、指宿で列車を降りた。

ここで降りたのは、今村温泉なる銭湯に入浴するためである。山川の宿は既に入浴時間が終了しているため、指宿の銭湯に浸かってみることにした。しかし下調べによれば、ここは恐ろしく古い銭湯のようだ。真っ暗な夜道を数ブロック歩いていくと、銭湯は忽然と姿を現した。白熱灯に照らされた玄関だけが闇に浮かび上がっている。脱衣所の様子はとても21世紀のものとは思えず、備え付けのマッサージチェアや体重計はもはやアンティークの域に達している。浴場は誰もいないかと思いきや、地元民と思しき人々がかわるがわる出入りしていた。ここも凄まじい古さで、ボロボロの鏡、見たことのないような旧式の蛇口など、至るところに時代を感じる。「昭和中期の生き残り銭湯」と評されるのにも非常に納得が行く。お世辞にも衛生的とは言えないが、さすが温泉自体はかなりの浸かり応えがあった。不思議と、今日一日の筋肉疲労が癒されていくかのようだ。昔から指宿の地元の人々に愛され、今も変わらず生き続ける銭湯。今宵、身をもって体験したのは貴重な機会であった。

夜も更ける頃、山川駅に降り立ち、駅からすぐのところにある旅館に入る。安いだけあってトイレも水道もない殺風景な8畳部屋だが、到着が遅く出発が早い今回のスケジュールにはぴったりの宿。何とエアコンが有料だったので、網戸にして扇風機をかける。暑いかと思ったが意外とそうでもなく、あっという間に深い眠りに落ちていった。

写真
1枚目:稲穂を横目に(@中福良~表木山)
2枚目:山間部をゆく(@栗野~大隅横川)
3枚目:黄昏の川内川橋梁(@吉松~栗野)

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