利尻旅行 2日目
利尻旅行 2日目
利尻旅行 2日目
今日も島をめぐる。
8/10
レンタカーによる周回(時計回り)

姫沼、オタトマリ沼、仙法志御崎公園、人面岩、沓形岬公園、見返台園地、富士野岬、富士野園地

マルゼンペンション レラモシリ 泊

姫沼、オタトマリ沼
鴛泊の港からほど近い山中にある姫沼は深い霧に包まれていて、水墨画のような世界であった。飽和水蒸気圧を感じながら幻想的な湖を一周歩く。続いて訪れたオタトマリ沼は、島で最も大きな湖である。ここは湿原の中にあるためか霧はなく、ただ陰鬱な曇天が広がるのみ。晴れていれば利尻富士が湖の向こう側にそびえ立ち、さらに無風ならその山容も湖面に映るようだが、やはり山は雲の中である。湖の周りをゆっくりと歩き、のんびりとした時間を過ごす。

東医体が終わり、緊張の糸が切れ、まるで弛緩した意識の線維束がだらーっと湖面に吹き流されているかのような感覚である。

仙法志御崎公園、人面岩
御崎公園ではアザラシが見られると聞いていたので行ってみると、何やら磯にはいけすがある。雲行きが怪しくなってきたと思ったら、案の定、養殖アザラシであったw 「ゴマちゃん」という名前までついているw そこら辺の岩場にアザラシが寝ている絵を想像していたのだが、そういうわけではないらしい。ここは利尻山から流れ出た溶岩が散らばった海岸で、昨年の佐渡の七浦海岸を彷彿させる光景である。

その後も時計回りに車を走らせると、7時の方角を過ぎたあたりで空がずいぶんと晴れてきた。それまで鉛色だった海面も紺碧になり、まぶしい陽光を照り返している。人面岩や寝熊の岩と名前が付けられた奇岩の近くで車を停め、しばし海岸に佇む。海を見ていると、心が洗われる。あれは昨年の2月だったか、日本海が眼前に広がる小砂川~上浜の撮影地で、蒼い海と飛島の島影を見ながらのんびり列車を待っていると、海藻のように心にまとわりついていた負の感情がどうでもよくなったものだ。今日も、そういう気分である。

昼食、沓形岬公園
沓形の町も晴れていて、涼しい気候のはずなのにむしろ暑いくらいである。白昼の町は人通りがほとんどなく、ただ陽光だけが降り注いでいる。「大漁亭」という店に入って昼食をとることにした。かなり古い建物で、かつては旅館だったのだろうか。今は寂れた雰囲気である。4人で刺身の盛合せを注文。ホタテやソイ、イカ、タコなど、素朴ながら地元で獲れた魚介がそのまま使われていて美味しい。それなりに高くつくのかと思いきや、学生ということでかなり負けてくれた。実に良心的な会計でありがたい。そういえば、そこら中で大量に獲れるからなのか、利尻はホタテの値段がかなり安い。一方でウニは高い。やはり貴重だということと、一匹から採れる卵巣の量が限られているからなのだろう。

その後、沓形岬公園に向かう。オレンジ色のオニユリが海の色と好対照になっていて美しい。西の方角を見れば、すぐ近くに礼文島が浮かんでいる。ここからは12kmしか離れていないらしい。礼文の方角は天候が悪く、雲が低く暗い。晴れているのは沓形付近の海岸だけのようだ。利尻富士はかなり稜線が見えるようになったが、肝心の山頂は依然雲の中である。

見返台園地
もしかしたら山頂が見えるかもしれないと思い、山道を4kmほど登って利尻山の中腹にある見返台園地までやって来た。しかしながら、山頂はやはり雲の中であった。ここまで登ってくるとさすがに見晴らしも良く、島の四分の一にあたる海岸線と、沓形の町、そして眼前に広がる利尻富士の裾野が一望のもとである。天候もすがすがしく、感情の混合物が濾過されていく。

富士野岬、富士野園地
最後は11時の方角にある富士野園地を訪れる。見返台園地を後にして北へ車を走らせていくと、徐々に空が暗くなってきた。今日は、島の南西部だけ晴れていたようだ。到着した富士野岬の付近は荒涼たる海食崖が続き、陰鬱な曇天も相まってかなり寂しい風景である。近くの富士野園地には展望台があり、小さな無人島、ポンモシリ島の姿を眼下に望むことができる。見ると、鴛泊の港を出発したフェリーが、沖合に浮かぶ礼文島を目指して走っていく。絶望的に暗い景色は、まるで心象風景のようにひたひたとこちらへ近づいてくるかのようだ。

夕食、晩酌
今夜の食事もボリュームがあり、シマホッケ、タコしゃぶ、このわた、バフンウニの刺身、利尻昆布などが盛りだくさんであった。メインはやはりウニで、ムラサキウニと一緒に炊き込んだ釜飯を頂く。この二日間は、何とも贅沢な食生活を満喫している。

夜は予科部屋で飲む。なかなか大量に酒を買ってきたが、多すぎず、かといって少なすぎず、酔って眠るには丁度良い量であった。今さらながら思うに、東医体は、もう終わったのだ。そして、主将も終わったのだ。終わった、という現実に向き合うのは当然のことではあるが、はかない達成感と同時に心に去来するのは、一種の寂寥感、そして孤独感である。誰もいない、広大な氷の海の上で途方に暮れているような感覚、それに近いものを覚える。この一年間、常に全力で取り組んではきたが、それでも達成し得ないことは山ほどあったし、反省することも多いし、何より悔いがないと言えば嘘になる。まあ、しばらくはゆっくり休んで、そして、再びゆったり歩き始めるとしよう。

写真
1枚目:姫沼
2枚目:沓形岬公園
3枚目:見返台園地より眺める利尻山の稜線

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コメント

Nosuri
2013年8月15日22:50

いやぁ、主将本当に乙でした!全医体行けなかったのは残念…(´・ω・`)
「寂寥感」とってもよくわかる気がする。充分な休養を経て、次のフェーズへと上手く接続出来るとよいね。
今は渡英中かな?そのうち撮影か飲みか行きませう◎3◎!

くはね
2013年8月16日17:58

どうもどうも!
今はロンドンに「帰省」中で、凪のような時間を過ごしているよw 次のフェーズへの上手い接続というのも本当にその通りで、夏休みはちょうど良い移行期間なのかもしれない。
両毛・上越の115とか、秩父や房総とか、暇を見つけて行ってみたいね!

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