街歩き二日目。
・ロンドン地下鉄
一日乗車券(トラベルカード)を買って地下鉄で移動する。ロンドン地下鉄の正規の初乗り運賃は£4.30(約650円)というバカ高い値段で、2回以上乗るなら£7.30の一日乗車券の方が得になる。しかし、それにしても高い。オイスターカードというSuicaのようなICカードを買って、運賃の割引を受けることも可能らしい。これは主に在住者が使っているとみられる。地下鉄は、昨年、一昨年と訪れたパリのそれに比べるとずいぶん綺麗で、東京の地下鉄並みの清潔さである。またこういうことはあまり言ってはいけないのかもしれないが、乗客層もだいぶ良く、駅で寝泊まりしているような浮浪者や、柄の悪い人々などは全然いない。バカ高い運賃設定が枷になっていることや、あるいは入場、出場とも厳密な自動改札が行われていて、どの改札にも必ず駅員がいることなどが大きいのかもしれない。いずれにせよ、快適で安全な移動手段である。ロンドンでは地下鉄のことをチューブ(tube)と呼ぶが、本当にトンネル断面が管状のままで、走っている車両もそれに合わせた円筒形をしているから面白い。ここは世界の地下鉄の先駆であり、今年で開業150周年を迎えるという。
今日はCircle LineとDistrict Lineが運休だったので、ウェストミンスターで敢え無く引き返すことになった。まずはセント・ポールズ大聖堂を訪れる。
・セント・ポールズ大聖堂
外は相変わらず寒い。建築家クリストファー=レン(Christopher Wren)の傑作といわれるセント・ポールズ大聖堂を訪れる。昨日のウェストミンスター寺院は王室ゆかりの礼拝堂だったのに対し、ここはロンドン市民の信仰の中心地として親しまれてきたという。外観は大きなドームが特徴的だが、周囲には建物が密集しているので、空撮でもしない限りは大聖堂の壮大な全貌を綺麗に収めることは難しい。少しでもたくさん画面に取り入れることを考えたとき、やはり超広角のレンズが欲しいと思ってしまう。
今日は日曜日ということで、11時半からSung Eucharistなる礼拝(service)が始まった。渡されたプログラムには"We welcome people of all Christian traditions as well as people of other faiths and people of little or no faith."とあったので、"no faith"ではあるがとりあえず参加してみようw Eucharistとは「聖餐式」らしいが、今一つよく分からない。手元のプログラムには数々の歌が楽譜とともに書いてあり、どうやらこれに沿って儀式が進行するらしい。定刻になるとパイプオルガンの大音響と共に聖歌隊と聖職者たちが次々と入場してきて、参加者は全員起立してProcessional Hymnと書かれた賛美歌を斉唱する。英単語の音節音節がメロディにうまくはまっていて美しい。Presidentと呼ばれる司会者のような人が祈りの言葉を捧げたり、聖書の一節(放蕩息子のたとえ話)を読み上げたりしながら、淡々と儀式が進行。周りの人々はみなそのつど敬虔に歌っていて感心する。プログラムを見ると先がかなり長そうだったので、失礼ながら途中で退席した。
・逍遥
大聖堂を見た後は路線バスに乗って西へ向かう。やって来たのは車掌が乗務しているタイプの旧式のダブルデッカー車。直接伝えないと停留所で下ろしてもらえない。王立裁判所の前でバスを降り、昨日閉まっていたテンプルを今日も訪れてみた。しかし、やはり閉まっている。ここは半分私有地のような場所で、残念ながら不定期にしか開かないのかもしれない。仕方ないのでホーボーンの路地をぶらぶらと散策し、チャンスリー・レーン(Chancery Lane)という駅から地下鉄に乗り、テムズ河南岸へ向かうことにした。
ロンドン・ブリッジ(London Bridge)駅近くを適当に歩いて、狭い路地にあったThe Old King’s Headというパブに入る。日曜日の店内は地元民のオッサンで賑わっていて、みなサッカーを見ている。Sussex Best Bitterの1パイント、2杯目はTributeのハーフ・パイントを注文。そして、フィッシュ・アンド・チップスを食べる。そうだ、これを食べたかったのだ。タラと思しき白身魚をまるまる一尾揚げてあり、ものすごいボリュームだったが、ビールのつまみとしては実に良くできた料理でなかなかに美味しい。飲み物も食べ物も安く、満足した。
遅い昼食をとった後、駅のガードのすぐそばにあるサザーク大聖堂に立ち寄る。雑然とした都会の中、従容たる姿で佇む石造りの建物を見ると、まるでこの一区画が時の流れからぽつんと取り残されたかのようである。中に入ると、ここでも礼拝の儀式が行われていた。こちらでは当たり前の日常なのかもしれないが、大昔から人々の心に息づいてきたキリスト教文化というものに驚嘆を覚える一日。
・タワー・ブリッジ
その後、タワー・ブリッジまで歩く。天候は相変わらずの曇りで、景色に色がない。河の対岸には要塞のようなロンドン塔が見える。タワー・ブリッジもなかなか見事な橋ではあるが、石造りの建物というのは天気が悪いと本当に冴えない。こういう日は夕景、夜景の撮影に限るので、日没まで近くのスタバで時間をつぶし、メール処理を行う。旅行に来ると、いつにも増してiPadの利便性を実感する。明日から使う英国鉄道の時刻表も全てPDFデータで放り込んであり、重い本を携帯しなくても良い。
いよいよ夕暮れ時になると、それまで冴えなかったタワー・ブリッジはとたんに宝石のような輝きを放ち始め、テムズ河に浮かぶ軍艦ベルファスト号も妖しく闇に浮かび上がる。タワー・ブリッジは遠くから眺めても近くから見上げても美しく、絶妙なバランスで造形された建築である。寒色を強調してライトアップされた橋梁は凛然とした風格を見せ、一対のカテナリー(のような弧線)が黒紫色の夕闇に映える。水辺ということもあってとにかく寒い。黙々と橋を行き交う車列をカメラに収めた後、地下鉄で宿まで戻った。
写真
1枚目:セント・ポールズ大聖堂
2枚目:フィッシュ・アンド・チップス
3枚目:タワー・ブリッジ
3455文字
3/10
Green Park → Westminster
Jubilee Line
Westminster → Bond Street
Jubilee Line
Bond Street → St. Paul’s
Central Line
セント・ポールズ(St. Paul’s)大聖堂
St. Paul’s → Fleet Street
路線バス 15系統
ホーボーン散策
Chancery Lane → Bank
Central Line
Bank → London Bridge
Northern Line
The Old King’s Head
サザーク(Southwark)大聖堂
タワー・ブリッジ(Tower Bridge)
軍艦ベルファスト(Belfast)号
London Bridge → Green Park
Jubilee Line
ロンドン泊
Flemings Mayfair
・ロンドン地下鉄
一日乗車券(トラベルカード)を買って地下鉄で移動する。ロンドン地下鉄の正規の初乗り運賃は£4.30(約650円)というバカ高い値段で、2回以上乗るなら£7.30の一日乗車券の方が得になる。しかし、それにしても高い。オイスターカードというSuicaのようなICカードを買って、運賃の割引を受けることも可能らしい。これは主に在住者が使っているとみられる。地下鉄は、昨年、一昨年と訪れたパリのそれに比べるとずいぶん綺麗で、東京の地下鉄並みの清潔さである。またこういうことはあまり言ってはいけないのかもしれないが、乗客層もだいぶ良く、駅で寝泊まりしているような浮浪者や、柄の悪い人々などは全然いない。バカ高い運賃設定が枷になっていることや、あるいは入場、出場とも厳密な自動改札が行われていて、どの改札にも必ず駅員がいることなどが大きいのかもしれない。いずれにせよ、快適で安全な移動手段である。ロンドンでは地下鉄のことをチューブ(tube)と呼ぶが、本当にトンネル断面が管状のままで、走っている車両もそれに合わせた円筒形をしているから面白い。ここは世界の地下鉄の先駆であり、今年で開業150周年を迎えるという。
今日はCircle LineとDistrict Lineが運休だったので、ウェストミンスターで敢え無く引き返すことになった。まずはセント・ポールズ大聖堂を訪れる。
・セント・ポールズ大聖堂
外は相変わらず寒い。建築家クリストファー=レン(Christopher Wren)の傑作といわれるセント・ポールズ大聖堂を訪れる。昨日のウェストミンスター寺院は王室ゆかりの礼拝堂だったのに対し、ここはロンドン市民の信仰の中心地として親しまれてきたという。外観は大きなドームが特徴的だが、周囲には建物が密集しているので、空撮でもしない限りは大聖堂の壮大な全貌を綺麗に収めることは難しい。少しでもたくさん画面に取り入れることを考えたとき、やはり超広角のレンズが欲しいと思ってしまう。
今日は日曜日ということで、11時半からSung Eucharistなる礼拝(service)が始まった。渡されたプログラムには"We welcome people of all Christian traditions as well as people of other faiths and people of little or no faith."とあったので、"no faith"ではあるがとりあえず参加してみようw Eucharistとは「聖餐式」らしいが、今一つよく分からない。手元のプログラムには数々の歌が楽譜とともに書いてあり、どうやらこれに沿って儀式が進行するらしい。定刻になるとパイプオルガンの大音響と共に聖歌隊と聖職者たちが次々と入場してきて、参加者は全員起立してProcessional Hymnと書かれた賛美歌を斉唱する。英単語の音節音節がメロディにうまくはまっていて美しい。Presidentと呼ばれる司会者のような人が祈りの言葉を捧げたり、聖書の一節(放蕩息子のたとえ話)を読み上げたりしながら、淡々と儀式が進行。周りの人々はみなそのつど敬虔に歌っていて感心する。プログラムを見ると先がかなり長そうだったので、失礼ながら途中で退席した。
・逍遥
大聖堂を見た後は路線バスに乗って西へ向かう。やって来たのは車掌が乗務しているタイプの旧式のダブルデッカー車。直接伝えないと停留所で下ろしてもらえない。王立裁判所の前でバスを降り、昨日閉まっていたテンプルを今日も訪れてみた。しかし、やはり閉まっている。ここは半分私有地のような場所で、残念ながら不定期にしか開かないのかもしれない。仕方ないのでホーボーンの路地をぶらぶらと散策し、チャンスリー・レーン(Chancery Lane)という駅から地下鉄に乗り、テムズ河南岸へ向かうことにした。
ロンドン・ブリッジ(London Bridge)駅近くを適当に歩いて、狭い路地にあったThe Old King’s Headというパブに入る。日曜日の店内は地元民のオッサンで賑わっていて、みなサッカーを見ている。Sussex Best Bitterの1パイント、2杯目はTributeのハーフ・パイントを注文。そして、フィッシュ・アンド・チップスを食べる。そうだ、これを食べたかったのだ。タラと思しき白身魚をまるまる一尾揚げてあり、ものすごいボリュームだったが、ビールのつまみとしては実に良くできた料理でなかなかに美味しい。飲み物も食べ物も安く、満足した。
遅い昼食をとった後、駅のガードのすぐそばにあるサザーク大聖堂に立ち寄る。雑然とした都会の中、従容たる姿で佇む石造りの建物を見ると、まるでこの一区画が時の流れからぽつんと取り残されたかのようである。中に入ると、ここでも礼拝の儀式が行われていた。こちらでは当たり前の日常なのかもしれないが、大昔から人々の心に息づいてきたキリスト教文化というものに驚嘆を覚える一日。
・タワー・ブリッジ
その後、タワー・ブリッジまで歩く。天候は相変わらずの曇りで、景色に色がない。河の対岸には要塞のようなロンドン塔が見える。タワー・ブリッジもなかなか見事な橋ではあるが、石造りの建物というのは天気が悪いと本当に冴えない。こういう日は夕景、夜景の撮影に限るので、日没まで近くのスタバで時間をつぶし、メール処理を行う。旅行に来ると、いつにも増してiPadの利便性を実感する。明日から使う英国鉄道の時刻表も全てPDFデータで放り込んであり、重い本を携帯しなくても良い。
いよいよ夕暮れ時になると、それまで冴えなかったタワー・ブリッジはとたんに宝石のような輝きを放ち始め、テムズ河に浮かぶ軍艦ベルファスト号も妖しく闇に浮かび上がる。タワー・ブリッジは遠くから眺めても近くから見上げても美しく、絶妙なバランスで造形された建築である。寒色を強調してライトアップされた橋梁は凛然とした風格を見せ、一対のカテナリー(のような弧線)が黒紫色の夕闇に映える。水辺ということもあってとにかく寒い。黙々と橋を行き交う車列をカメラに収めた後、地下鉄で宿まで戻った。
写真
1枚目:セント・ポールズ大聖堂
2枚目:フィッシュ・アンド・チップス
3枚目:タワー・ブリッジ
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