奥羽本線、男鹿線を撮る。
・白い朝
五能線の区間便に乗って、早朝の東能代に出る。留置線には、EF81にサンドイッチされて雪まみれになったDE10が佇んでいる。何かの回送だろうか。奥羽本線の始発に乗り継ぎ、前山にて降りる。天候は快晴。しかし、霧が非常に濃い。運転室の後方からかぶりついていたが、停車直前になるまで駅があると分からなかった。まるで、辺り一面が白い闇に包まれているかのようだ。当初は鷹ノ巣方面の跨線橋で撮ることを考えていたが、この霧では視界が確保できそうにない。あけぼのの通過までは無難に駅撮りを行うとする。ドライアイスのような雪煙を巻き上げながら邁進してきたあけぼのの姿には、大幹線の特急列車にふさわしい風格がある。赤い機関車と青い客車の対照が、白く染め上げられた世界と美しく調和し、ただの駅撮りとはいえ十分な満足を感じるひと時であった。
その後、雪をかきわけながら1.5kmほど鷹ノ巣方面へ歩き、跨線橋からEF81牽引の貨物列車を狙う。3099レは定刻でやって来た。蒼白の雪原を駆け抜ける長大編成は壮観。通過直前に日が翳ってしまったのが本当に残念である。一方、輸送情報によれば上りの3098レは1時間ほど遅れているらしい。そして線路脇の信号機を睨みつつ、スジを推理する。反対側のつがる1号が来る前に鷹ノ巣~前山の単線区間を通してその先の複線区間に放り込む、という読みは見事に当たったのだが、なんとEF510の代走であった。まあ、そう何もかもがうまくいくわけではない。
最後は前山駅まで小走りで帰る。これでずいぶんと体力が削がれた。雪道を走るのは慣れていないものだから下肢の筋肉を変な風に使ってしまう。昨夜買った「白瀑」も相当の負荷となった。急いで戻ったのは秋田貨物始発の1657レを狙うためだったが、こちらは予定通りEF510の牽引。EF81の代走をひそかに期待していたが、それは叶わぬ願いであった。
・男鹿線
秋田駅ビル「トピコ」内にある「どん扇屋」という店で昼食をとる。せっかくなので、きりたんぽ田楽も注文。撮影の合間にささやかながら郷土料理を挟み込む。午後はキハ40系列の楽園、男鹿線へと足を運ぶ。昔はこの系式に大した魅力を感じていなかったが、見る見るうちにJR型気動車が各地に勢力を広げてきた今や、いかにも国鉄型らしい愛嬌のあるデザインには被写体として何か惹かれるものを見出すまでになった。今日は雲の多い晴れ。車内には陽光が差し込んできて、暑いくらいである。
二田という駅で降り、天王方面に向かって歩く。跨線橋から上下列車を狙うことにするが、意外と住宅地がすぐそばまで迫っているので、構図を作るのにかなり苦労する。電線や電柱といった障害物をカットするのも至難の業で、何とか見つけたアングルも完璧とはいえないものであった。背後に寒風山を配したは良いが、どうしてもごちゃごちゃした感じになってしまう。「ものは撮りよう」というのは最近よく思うことだが、「撮りよう」にこだわりすぎて「もの」に目が行かなくなることにはくれぐれも注意しなければならない。
撮影の締めくくりは船越水道を渡る橋で決める。ここは八郎潟と日本海がつながる場所で、河口を思わせる開放的な風景が広がっている。先ほどは曇り気味だった天候もすっかり晴れ、辺りは夕刻の艶やかな光に包まれてゆく。1138Dはよく分からない感じで終わってしまったが、1137Dはスタンダードに決め、1140Dは水門側に回って逆光でのシルエットを狙った。意外と思惑通りの画面になって嬉しい。乗客が少ないためか、窓が抜けて海側の空がのぞいている。最後の1139Dは日没時刻とほぼ同時の通過だったが、どうしても微妙な光の加減で刻一刻と景色は変わっていくもので、運転室窓のギラリが辛うじて写る画面となった。
・酒田へ
再び秋田駅に戻り、やはり「トピコ」内にある「秋田比内地鶏や」に入る。親子丼はなかなかの美味で、ついでに「刈穂」の吟醸も飲む。ふつう撮影行といえば朝も昼も菓子パンでしのぎ、夜にようやくまともな食事にありつけるかどうか、といったところだが、今日はずいぶんと上質な食生活をしている。明日は羽越本線を撮るので、夕食後に酒田まで移動。
昨夏も思ったことだが、やはり秋田運輸区の車掌は美人が多い。
写真
1枚目:雪煙を上げて快走(@前山)
2枚目:長大編成が雪原を駆ける(@前山~鷹ノ巣)
3枚目:船越水道を渡るシルエット(@天王~船越)
2848文字
3/4
能代615 → 東能代620
五能線122D キハ40 537
東能代639(+5) → 前山700(+5)
奥羽本線1633M クモハ701-13
撮影(前山駅):
2042M[714] 特急つがる2号
1635M[741] 普通列車
2021レ[810] 特急あけぼの
撮影(跨線橋):
1641M[908] 普通列車
3099レ[932] EF81 723
3098レ[946(+63)] EF510-12
2041M[954] 特急つがる1号
撮影(前山駅):
1657レ[1016(+7)] EF510-11
前山1025 → 秋田1149
奥羽本線1646M クモハ701-1
秋田1326(+3) → 二田1400(+3)
奥羽本線・男鹿線1133D キハ48 522
撮影(跨線橋):
1135D[1516] 普通列車
1136D[1539] 普通列車
撮影(船越水道橋):
1138D[1613] 普通列車
1137D[1625] 普通列車
1140D[1709] 普通列車
1139D[1722] 普通列車
天王1809 → 秋田1847
男鹿線・奥羽本線1142D キハ48 544
秋田2026 → 酒田2216
羽越本線560M クモハ701-27
酒田泊
・白い朝
五能線の区間便に乗って、早朝の東能代に出る。留置線には、EF81にサンドイッチされて雪まみれになったDE10が佇んでいる。何かの回送だろうか。奥羽本線の始発に乗り継ぎ、前山にて降りる。天候は快晴。しかし、霧が非常に濃い。運転室の後方からかぶりついていたが、停車直前になるまで駅があると分からなかった。まるで、辺り一面が白い闇に包まれているかのようだ。当初は鷹ノ巣方面の跨線橋で撮ることを考えていたが、この霧では視界が確保できそうにない。あけぼのの通過までは無難に駅撮りを行うとする。ドライアイスのような雪煙を巻き上げながら邁進してきたあけぼのの姿には、大幹線の特急列車にふさわしい風格がある。赤い機関車と青い客車の対照が、白く染め上げられた世界と美しく調和し、ただの駅撮りとはいえ十分な満足を感じるひと時であった。
その後、雪をかきわけながら1.5kmほど鷹ノ巣方面へ歩き、跨線橋からEF81牽引の貨物列車を狙う。3099レは定刻でやって来た。蒼白の雪原を駆け抜ける長大編成は壮観。通過直前に日が翳ってしまったのが本当に残念である。一方、輸送情報によれば上りの3098レは1時間ほど遅れているらしい。そして線路脇の信号機を睨みつつ、スジを推理する。反対側のつがる1号が来る前に鷹ノ巣~前山の単線区間を通してその先の複線区間に放り込む、という読みは見事に当たったのだが、なんとEF510の代走であった。まあ、そう何もかもがうまくいくわけではない。
最後は前山駅まで小走りで帰る。これでずいぶんと体力が削がれた。雪道を走るのは慣れていないものだから下肢の筋肉を変な風に使ってしまう。昨夜買った「白瀑」も相当の負荷となった。急いで戻ったのは秋田貨物始発の1657レを狙うためだったが、こちらは予定通りEF510の牽引。EF81の代走をひそかに期待していたが、それは叶わぬ願いであった。
・男鹿線
秋田駅ビル「トピコ」内にある「どん扇屋」という店で昼食をとる。せっかくなので、きりたんぽ田楽も注文。撮影の合間にささやかながら郷土料理を挟み込む。午後はキハ40系列の楽園、男鹿線へと足を運ぶ。昔はこの系式に大した魅力を感じていなかったが、見る見るうちにJR型気動車が各地に勢力を広げてきた今や、いかにも国鉄型らしい愛嬌のあるデザインには被写体として何か惹かれるものを見出すまでになった。今日は雲の多い晴れ。車内には陽光が差し込んできて、暑いくらいである。
二田という駅で降り、天王方面に向かって歩く。跨線橋から上下列車を狙うことにするが、意外と住宅地がすぐそばまで迫っているので、構図を作るのにかなり苦労する。電線や電柱といった障害物をカットするのも至難の業で、何とか見つけたアングルも完璧とはいえないものであった。背後に寒風山を配したは良いが、どうしてもごちゃごちゃした感じになってしまう。「ものは撮りよう」というのは最近よく思うことだが、「撮りよう」にこだわりすぎて「もの」に目が行かなくなることにはくれぐれも注意しなければならない。
撮影の締めくくりは船越水道を渡る橋で決める。ここは八郎潟と日本海がつながる場所で、河口を思わせる開放的な風景が広がっている。先ほどは曇り気味だった天候もすっかり晴れ、辺りは夕刻の艶やかな光に包まれてゆく。1138Dはよく分からない感じで終わってしまったが、1137Dはスタンダードに決め、1140Dは水門側に回って逆光でのシルエットを狙った。意外と思惑通りの画面になって嬉しい。乗客が少ないためか、窓が抜けて海側の空がのぞいている。最後の1139Dは日没時刻とほぼ同時の通過だったが、どうしても微妙な光の加減で刻一刻と景色は変わっていくもので、運転室窓のギラリが辛うじて写る画面となった。
・酒田へ
再び秋田駅に戻り、やはり「トピコ」内にある「秋田比内地鶏や」に入る。親子丼はなかなかの美味で、ついでに「刈穂」の吟醸も飲む。ふつう撮影行といえば朝も昼も菓子パンでしのぎ、夜にようやくまともな食事にありつけるかどうか、といったところだが、今日はずいぶんと上質な食生活をしている。明日は羽越本線を撮るので、夕食後に酒田まで移動。
昨夏も思ったことだが、やはり秋田運輸区の車掌は美人が多い。
写真
1枚目:雪煙を上げて快走(@前山)
2枚目:長大編成が雪原を駆ける(@前山~鷹ノ巣)
3枚目:船越水道を渡るシルエット(@天王~船越)
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