羽越本線の夏 Part 2
羽越本線の夏 Part 2
8/21
小砂川1112 → 吹浦1120
羽越本線536M クモハ701-19

撮影(吹浦駅):
4093レ[1130] EF510-13

撮影(吹浦~女鹿間):
3098レ[1223] EF81
543M[1302

吹浦~女鹿にて
撮影地を移動する。既に日はかなり高く昇っていて、猛然と通過していった下り貨物を見送り、誰一人居ない吹浦駅から一歩外へ踏み出せば、うだるような暑さが待っていた。吹浦~女鹿間は女鹿寄りにあるS字カーブの撮影地、鳥崎踏切があまりにも有名だが、今回はその一帯を国道7号線の高台からサイド俯瞰することに決めていた。駅を出て北へ向かって歩いていくと、鳥海山大物忌神社に突き当たる。本来はここで左側にそれて回り道をしながら県道210号線、またの名を鳥海山ブルーラインに入り高台の国道7号線まで登ろうと考えていたものの、さっき駅前で見た案内板によればどうやらこの神社の境内から直接国道へと抜ける山道があるらしい。鳥居をくぐると下拝殿があり、すぐに猛烈な高さの石段が待ち受ける。ようやく登り詰めた先には本殿がひっそりと佇み、そのさらに奥には一風変わった別の建築もある。噴火を繰り返す鳥海山を祀ったというこの神社の歴史はなかなかに古く、山頂の本社ならびに山麓の吹浦と蕨岡の宮を合わせて鳥海山大物忌神社というようだ。本殿の右奥には山へ入る舗装道があり、ここからさらに階段を登っていく。思いのほか長い道程である上に途中から舗装もなくなってしまったので、万一道を間違っていたらどうしようかと途中で不安になったが、しばらくすると国道を疾走する車の音と、この神社のもう一つの入口に構える鳥居が見えてきたので胸をなで下ろした。鳥居の近くは駐車帯になっていて、国道からこの神社にアプローチすることもできるようだ。したがって、今まで歩いてきた山道は参道ということになる。

国道は切り開かれた山中を走り、一見高速道路かと思わせるような高規格の道路がどこまでも続いている。道行く車はかなりのスピードを出していて、大型のトラックも多い。国道7号線は羽越本線と奥羽本線に並行する一桁国道で、日本海沿岸の都市を結ぶ物流の幹線である。幸い、脇には広い歩道が併設されていたのでここを歩いていくことにする。じりじりと照りつける灼熱の太陽の下、延々と北を目指す。調べたところによると「鳥海山ブルーラインのオーバークロスを潜った先の駐車帯」が目的の撮影地だったのだが、ブルーラインとの立体交差を過ぎてもまだまだ先は長い。ようやく駐車帯の案内表示が見えてきたが、あと300mもあるらしい。よくよく考えてみれば、4年前の冬に海沿いを歩いて鳥崎踏切まで行ったときも駅からかなり遠かったから、そこを俯瞰する今回の撮影地も同じくらいの距離はあって然るべきなのだ。

やっと到着した撮影地は広い駐車帯の一角にあり、手前の丘、水田、そして羽越本線の線路を挟んで真っ青な日本海を遠くまで見渡せる風光明媚なところであった。正午を過ぎたトップライトの光線が容赦なく空から降り注ぎ、辺り一面は高彩度の夏色に染められている。やがてEF81率いる3098レが姿を現した。海をバックにコンテナ車の長大編成が黙々と駆けてゆくさまは壮観である。次の下り普通列車も同じようにして撮ろうかと思っていたら、国道を挟んだ反対側の崖から降りてくる撮影者の姿が目に入った。よく見てみると、コンクリートで固められた法面を頂上まで登ってゆく急な階段が、崖下の国道から伸びていることに気が付く。あそこから俯瞰したらどんなにか綺麗だろうと思い、次の列車はここを登り詰めたところから撮ってみることにする。汗だくになって着いた先は案の定の絶景で、ちょうど山形と秋田の県境にあたる複雑な海岸線が一望のもとである。午前中はあの半島を越えた先にいたわけだ。俯瞰写真を撮るのは久しぶりで、何とも気分爽快。青春18きっぷのポスター写真の撮影地になってもおかしくないような場所だが、いやもしかすると、既にここで撮られたことがあるかもしれない。壮大な景観を欲張って取り入れたため、トコトコとやってきた2両編成の701系は本当にちっぽけに画面に映る。

天候は快晴だが猛烈に暑い。暑い暑いと呟きながら25分ほどかけて来た道を戻る。医学生が熱中症で行き倒れになるというのもアホな話だと思い、水分は欠かさず補給する。日射と猛暑にやられてぼーっとしていると、間もなく酒田行の普通列車が到着。ここは気合いを入れ直して次の撮影地へ移動するとしよう。

写真
1枚目:3098レ
2枚目:543M

2015文字

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