羽越本線の夏 Part 1
羽越本線の夏 Part 1
8/20 → 8/21
上野2115 → 遊佐513
東北本線、高崎線、上越線、信越本線、羽越本線2021レ
特急あけぼの オハネフ24 10

撮影: ※[ ]内に通過時刻を示す
2091レ[523] EF510
3099レ[531] EF81 406

8/21
遊佐551 → 小砂川605
羽越本線525M クモハ701-9

撮影:
4060レ[645] EF81
524M[703
531M[707
9003レ(特急日本海)[803] EF81 106
530M[811
535M[826
2093レ[912] EF510-19
539M[1007
2008M(特急いなほ8号)[1015
4061レ[1044] EF81 503

鳥海山麓を目指す
旅行なり撮影行の行程というのは、綿密な下準備のもとに然るべくして完成することもあれば、日頃から何となく渦巻いていた混合気体が一瞬のうちに昇華して出来上がることもある。今回は紛れもなく後者で、とくに特急日本海への執着が発火点となった。この寝台特急は臨時列車に格下げされる前からかなり積極的に撮ってきてはいたが、実は海をバックに撮ったのはたったの一回、高2の2月だっただろうか、土日きっぷを駆使して583系わくわくドリーム号と一緒に吹浦~女鹿の有名撮影地で撮ったときの一回だけである。その時はかなりの厳冬で、荒れた海に銀世界という心躍る光景だったが、唯一の心残りは牽引機がトワイライト色のEF81、通称トワ釜だったことである。いかにも夏らしい晴れた海と共に、ローズピンクのEF81とブライトブルーの24系客車が織りなす編成美をカメラに収めること、それは永らくの願望でもあり、いわばやり残した「宿題」ともいうべきテーマであった。今は見る影もないが当時の日本海は2往復運転されていて、遅い方の下り3号は山形と秋田の沿岸部で撮影するには絶好のダイヤであった。ところが、その3号のスジが廃止となり1往復体制になって以降、「日本海沿いを走る日本海を撮る」というこのテーマは事実上の幻となってしまったのだ。

しかし、わずかな期間ではあるが臨時列車となった日本海が3号のスジで復活する。先のゴールデンウィークには運転実績があり、年末にもおそらく走るのかもしれないが、この夏の運転は20日に大阪を発つ下り列車をもって終了となる。せっかくの機会をみすみす逃すわけにはいかないと思い立ち、急遽撮影計画を組んであけぼのに乗りこんだ次第である。撮影地は2月に訪れた小砂川~上浜の海岸をメインに、吹浦~女鹿、本楯~南鳥海にも足を運んで、特急日本海のみならず日本海縦貫線を黙々と走る貨物列車にも焦点を絞る。貨物ダイヤはググった産物をiPadに入れて適宜参照し、計画自体は20日の飲み会前後に通過時刻をメモしただけの代物。これであけぼののゴロンとシートが取れたら言うことはなかったが、さすがに当日の照会では満席。仕方ないので、開放B寝台に乗車する。ゴロンとの設備に寝具とスリッパがつくだけで6000円近くも高くなるのはどう考えてもおかしいが、こういう割に合わない時代錯誤の寝台設備を敢えて楽しむとしよう。布団をかぶって周囲のカーテンを閉めれば、カプセルのような密閉空間が出来上がって意外とわくわくする。規則正しく刻む轍の音、ドップラー効果で後方へとけし飛んでゆく踏切の警報音、時折かすかに響く機関車の汽笛、そういう色々な音がこの薄闇の中に錯綜し、夜行列車独特の風情を醸し出す。そして窓外を見上げれば満天の星。いつの間にか眠りに落ちてしまった。

遊佐、小砂川~上浜にて
酒田到着前に目が覚め、まもなく昇ってくる朝日に徐々に染まりゆく鳥海山を眺めつつ、遊佐で下車。酒田で降りても良かったのだが、あけぼのを追いかける形で2本の貨物列車が立て続けにやって来るので、それをこの駅で撮ろうと考えたわけである。1本目の2091レは露光ミスで完全に失敗。鉄道写真でTvを使うのはもうやめようorz 2本目の3099レは上手くいって何より。もともと大した写真を撮っているわけではないが、しばらく撮影から離れると腕が鈍ってしまう。

後続の下り普通列車で小砂川へ向かい、2月に訪れたのと同じ撮影地へ歩く。駅から徒歩25分ほど。既に先客が20名弱はいただろうか、大混雑の様相を呈している。これだけ人が多いとトラブルも起こりそうなものだが、旅先で朝からややこしい言い合いをするのはさすがに嫌だったので、ここはおとなしく振舞っておいた。これだから、やたら人が多い撮影地はどうも不快なのだ。本命の日本海が通過した後は一気に人波が引いてゆき、残ったのは自分を含めて5人ほど。長い待ち時間には昨夏のTHE CASE-BOOK OF SHERLOCK HOLMESを漫然と読み、時おりコバルトブルーの海に目を向け、穏やかな潮騒に耳を傾ける。この場所は本当に美しい。また背後には高いブロック塀があるので、日差しが遮られてそこそこに冷涼。これこそ至高の時間。日本海のピントはやや甘くなってしまったが、ようやく望みの絵が撮れて心から満足である。

写真
1枚目:特急日本海
2枚目:4061レ

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