旧街道を歩く。
・彫刻の森
まずは徒歩で彫刻の森美術館へ。箱根登山鉄道の線路沿いに15分ほど歩けば到着である。ここは1969年に開館した日本初のオープンエアーの美術館で、親に連れられて来たこともあるようだが、全く記憶にない。箱根の山々に囲まれた広い敷地内に彫刻群が点在する様子はなかなか壮観。オープンエアーの展示はヘンリー・ムーアの「彫刻は自然の中で鑑賞されるべきもの」という主張に基づくらしく、確かに自然光を受けて様々な表情を見せる彫刻の姿は面白い。鑑賞者に謎解きをさせるような類の、一見すると何を表したものなのか訳の分からない作品も数多く、ここ最近訪れた美術館とはまた一味異なった斬新な体験となった。ピカソ館の展示は理解が難しい。おそらく彼は本当にこんな風に見えていたのか、あるいは物の見方を自由自在に転換することができたのかもしれない。
ステンドグラスに外壁を囲まれたタワーからは広い敷地を一望できる。この美術館は敷地内を箱根登山鉄道の線路が通っているので、最後に「弓をひくヘラクレス」の彫像と絡めて登山電車を撮影。今朝見たところによると今日もモハ1形+モハ2形の3両編成が走っているようなので、タイミングを見計らって箱根湯本を折り返してきた強羅行を撮影。無論、彫刻のそばに張り付きながら鉄道写真を撮っている人など皆無だったがww
・旧街道石畳
館内のレストランはかなり混んでいたので、駅近くの寿司屋で昼食をとる。その後、二の平入口のバス停まで10分ほど坂道を登りつめ、箱根町方面へ向かうバスに乗る。時刻からして箱根登山バスかと思いきや、一本前の伊豆箱根バスが遅れてやってきたようだ。箱根地区の観光・交通権益については小田急(かつての大東急)と西武が激しく争ってきた歴史的経緯(箱根山戦争というらしいw)があるようで、最近こそ両社は業務提携を結び停留所名や路線系統記号の統一も行われてきたが、伊豆箱根バスでは「箱根フリーパス」は未だに使えない。まあ今回この切符は使っていないので関係ないのだが。
何気なく乗っていたので気がつかなかったが、今走っているただの山道のような道路は国道1号線である。山をひとつ越えて下り坂にさしかかった頃、前方には芦ノ湖南岸の景色が広がる。大芝というバス停で下車し、畑宿入口の交差点から県道732号線に入る。国道1号線は登山鉄道に沿う形で山を越えるが、この道路は山を挟んで1号線よりも南側を通り、今の交差点と箱根湯本近くの三枚橋交差点とを結ぶ別の山越えルートで、旧東海道はこのルートに重なっている。近くにある暗い雰囲気のお玉ヶ池を見てから、県道脇の山道を登り、県道に並行して林の中に敷かれている旧街道の石畳に入る。そして箱根湯本方面に向かって甘酒茶屋まで石畳を歩く。石畳というのは相変わらず歩きにくいものがあるが、昨夏歩いた熊野古道をふと思い出した。
甘酒茶屋では甘酒とみそおでん、力餅を食する。平日だというのに観光客で賑わっている。来月以降はさらに混んでくるのだろうか。時間にはまだ余裕があったので、畑宿までハイキングコースを歩くことにする。並走する県道は七曲がりの坂道で、国道1号線のバイパスである箱根新道がそこに絡み合うように交差しているのが面白い。ひたすら下り坂や階段ばかりを歩くこと1時間弱、寄木細工の里、畑宿に到着である。中1の新入生歓迎旅行を思い出した。畑宿からはバスで箱根湯本の駅まで戻った。
・小田原
夕方は小田原へ出る。みのや吉兵衛という店で塩辛を買う。隠れた老舗として知られているようだ。大した下調べもなく来た旅行だったが、ロマンスカーの中で調達したフリーのるるぶ誌や、強羅の観光案内所で手に入れたガイドマップが意外と役に立った。夕食はすぐ近くのさんせんという居酒屋へ。魚屋の直営らしく、とくにマグロの刺身が非常に充実していて美味しい。刺身には日本酒ということで、丹沢山・純米吟醸、小田原宿・純米をいただく。大量に飲み食いしたわりに値段も安く、小田原に来たときは是非また訪れてみたいところである。
帰路は新幹線で一駅、新横浜へ。所要はたったの16分。ブルーラインに乗ればあざみ野も間もなくである。箱根といえばロマンスカーと盲目的に考えていたが、アクセスするだけであればこの辺りからは実は新幹線が一番早くて便利。しかも運賃は950円、特定特急料金も950円なのでロマンスカーより安い。小田原へ向かう途中に気がつき、切符を払い戻したのは正解であった。これにて旅行は終結。
写真
1枚目:登山電車と彫刻
2枚目:箱根旧街道石畳
3枚目:小田原の夜
2335文字
3/29
箱根彫刻の森美術館
二の平入口1248(+5) → 大芝1303(+5)
伊豆箱根バス
お玉ヶ池、旧街道石畳、甘酒茶屋
畑宿1548 → 箱根湯本1603
箱根登山バス
箱根湯本1652 → 小田原1710
箱根登山鉄道7286
海鮮居酒屋さんせん
小田原1942 → 新横浜1958
東海道新幹線672A こだま672号
・彫刻の森
まずは徒歩で彫刻の森美術館へ。箱根登山鉄道の線路沿いに15分ほど歩けば到着である。ここは1969年に開館した日本初のオープンエアーの美術館で、親に連れられて来たこともあるようだが、全く記憶にない。箱根の山々に囲まれた広い敷地内に彫刻群が点在する様子はなかなか壮観。オープンエアーの展示はヘンリー・ムーアの「彫刻は自然の中で鑑賞されるべきもの」という主張に基づくらしく、確かに自然光を受けて様々な表情を見せる彫刻の姿は面白い。鑑賞者に謎解きをさせるような類の、一見すると何を表したものなのか訳の分からない作品も数多く、ここ最近訪れた美術館とはまた一味異なった斬新な体験となった。ピカソ館の展示は理解が難しい。おそらく彼は本当にこんな風に見えていたのか、あるいは物の見方を自由自在に転換することができたのかもしれない。
ステンドグラスに外壁を囲まれたタワーからは広い敷地を一望できる。この美術館は敷地内を箱根登山鉄道の線路が通っているので、最後に「弓をひくヘラクレス」の彫像と絡めて登山電車を撮影。今朝見たところによると今日もモハ1形+モハ2形の3両編成が走っているようなので、タイミングを見計らって箱根湯本を折り返してきた強羅行を撮影。無論、彫刻のそばに張り付きながら鉄道写真を撮っている人など皆無だったがww
・旧街道石畳
館内のレストランはかなり混んでいたので、駅近くの寿司屋で昼食をとる。その後、二の平入口のバス停まで10分ほど坂道を登りつめ、箱根町方面へ向かうバスに乗る。時刻からして箱根登山バスかと思いきや、一本前の伊豆箱根バスが遅れてやってきたようだ。箱根地区の観光・交通権益については小田急(かつての大東急)と西武が激しく争ってきた歴史的経緯(箱根山戦争というらしいw)があるようで、最近こそ両社は業務提携を結び停留所名や路線系統記号の統一も行われてきたが、伊豆箱根バスでは「箱根フリーパス」は未だに使えない。まあ今回この切符は使っていないので関係ないのだが。
何気なく乗っていたので気がつかなかったが、今走っているただの山道のような道路は国道1号線である。山をひとつ越えて下り坂にさしかかった頃、前方には芦ノ湖南岸の景色が広がる。大芝というバス停で下車し、畑宿入口の交差点から県道732号線に入る。国道1号線は登山鉄道に沿う形で山を越えるが、この道路は山を挟んで1号線よりも南側を通り、今の交差点と箱根湯本近くの三枚橋交差点とを結ぶ別の山越えルートで、旧東海道はこのルートに重なっている。近くにある暗い雰囲気のお玉ヶ池を見てから、県道脇の山道を登り、県道に並行して林の中に敷かれている旧街道の石畳に入る。そして箱根湯本方面に向かって甘酒茶屋まで石畳を歩く。石畳というのは相変わらず歩きにくいものがあるが、昨夏歩いた熊野古道をふと思い出した。
甘酒茶屋では甘酒とみそおでん、力餅を食する。平日だというのに観光客で賑わっている。来月以降はさらに混んでくるのだろうか。時間にはまだ余裕があったので、畑宿までハイキングコースを歩くことにする。並走する県道は七曲がりの坂道で、国道1号線のバイパスである箱根新道がそこに絡み合うように交差しているのが面白い。ひたすら下り坂や階段ばかりを歩くこと1時間弱、寄木細工の里、畑宿に到着である。中1の新入生歓迎旅行を思い出した。畑宿からはバスで箱根湯本の駅まで戻った。
・小田原
夕方は小田原へ出る。みのや吉兵衛という店で塩辛を買う。隠れた老舗として知られているようだ。大した下調べもなく来た旅行だったが、ロマンスカーの中で調達したフリーのるるぶ誌や、強羅の観光案内所で手に入れたガイドマップが意外と役に立った。夕食はすぐ近くのさんせんという居酒屋へ。魚屋の直営らしく、とくにマグロの刺身が非常に充実していて美味しい。刺身には日本酒ということで、丹沢山・純米吟醸、小田原宿・純米をいただく。大量に飲み食いしたわりに値段も安く、小田原に来たときは是非また訪れてみたいところである。
帰路は新幹線で一駅、新横浜へ。所要はたったの16分。ブルーラインに乗ればあざみ野も間もなくである。箱根といえばロマンスカーと盲目的に考えていたが、アクセスするだけであればこの辺りからは実は新幹線が一番早くて便利。しかも運賃は950円、特定特急料金も950円なのでロマンスカーより安い。小田原へ向かう途中に気がつき、切符を払い戻したのは正解であった。これにて旅行は終結。
写真
1枚目:登山電車と彫刻
2枚目:箱根旧街道石畳
3枚目:小田原の夜
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