フランス旅行 6日目
フランス旅行 6日目
フランス旅行 6日目
神秘の巡礼島へ。
3/15
Opéra → Madeleine
メトロ【8】号線

Madeleine → Montparnasse Bienvenüe
メトロ【12】号線

Paris Montparnasse 707 → Rennes 917
TGV 8705

Rennes 940 → Le Mont St. Michel 1055(-10)
バス

モン・サン・ミッシェル(Mont St. Michel)

Le Mont St. Michel 1420 → Rennes 1540(-5)
バス

Rennes 1603 → Paris Montparnasse 1822
TGV 8046

Montparnasse Bienvenüe → Madeleine
メトロ【12】号線

Madeleine → Pyramides
メトロ【14】号線

パリ泊
Baudelaire Opéra

ノルマンディーへ
早朝に宿を出発し、メトロを乗り継いでモンパルナス駅へ向かう。パリ市内からのバスツアーもあるようだが、折角なのでTGVでレンヌまで行き、そこからバスでモン・サン・ミッシェルを目指すことにした。列車は機関車も含めると12×2の24両という相当な長大編成で、乗り込むまでにずいぶんとホームを歩かされた上、号車番号がパリ方から10、9、8、・・・、1、11、12、13、・・・、20と割り振られているので予め編成表を確認しておかないとかなり分かりにくい。座席はストラスブールを往復したときと同じ仕様で、座面は硬くリクライニングもないのであまり快適とはいえない。車窓から日の出を眺めた後は、うとうとしていたらいつの間にかレンヌに到着であった。

レンヌ駅の北口を出てバス乗り場へ向かう。ここからモン・サン・ミッシェルまでは70分ほど。バスはのどかな田園の放牧風景が広がる中を走り、ノルマンディー(Normandie)の海を目指す。村に入ると徐行運転を行うが、村の間はかなりの高速で飛ばしてゆく。一昨日のワイン街道もそうだったが、こうした道路は大昔から脈々と受け継がれてきたのだろう。やがて、景色が開けたかと思うと遠目に島影が見えてきた。岩山にそびえ立つ修道院の姿がフロントガラスに接近し、徐々にそのディテールが明らかになっていく様子はなかなか感動的である。今でこそ堤防で結ばれた陸繋島の様相を呈しているが、かつては絶海の孤島だったという。バスを降りると、強い潮の香りに包まれる。ここはもう海上である。

岩山の修道院
混んでくる前に、まずは修道院を見学してしまう。島の入り口には門があり、その先にある狭い坂道の路地を上り詰めたところに修道院がある。8世紀頃、大天使ミカエル(Michel)のお告げによって岩山に建てられたという礼拝堂は増改築が繰り返され、時には要塞としての機能も果たしながら現在の姿となった。西のテラスは眺望が良く海と陸地を見渡すことができるが、残念ながら水平線は霞んでしまい景色は煙っている。島は干潟に囲まれていて、均一で無表情な砂洲の上に尖塔の影が斜めに落ちている。てくてくと歩いている人の姿も見受けられる。修道院付属の教会を経て列柱廊に進むと、そこは不思議な三次元空間である。交互にずれながら整列する二列の細い円柱が、中庭を囲む形でアーチを支えている。その整然たる様子もさることながら、廊下を歩くにつれて刻一刻と変化していく近景と遠景との絶妙な幾何学的干渉が美しい視覚効果を生み出している。かつては祈りと瞑想の場だったという。ここはメルヴェイユ(Merveille)の棟の最上階に位置し、西の窓からの見晴らしもすばらしい。

その後は食堂、迎賓の間、太柱の礼拝堂などを回っていく。石造りの建物の中はひんやりと涼しく、外界から隔絶されているような印象も受ける。厳冬期などは凍えるような寒さだったのではないか。海上の岩山にこもり、祈りを続けてきた修道僧たちの苦労はすさまじい。そして何よりも、これほどまでの修道院を人力で作り上げたということが驚嘆に値する。さまざまな様式の建築が混在しながらも、全体として一つの統一体をなすこの神秘的な巡礼島と修道院が背負う歴史と文化を肌で感じることができる。島は遠くから見渡せばピラミッドのような山の形に見えるが、これは建設時にしっかりと考慮されてのことだというから、当時の石積みの技術水準が実に高かったことも窺える。

島内散策
ツアーの大型バスが続々と島に到着し、観光客も多くなってきた。修道院を見終えた後は北塔、ブクル塔、低塔といったふうに東側の城壁を散策する。到着したときは快晴だったのだが、今は低い雲が立ち込め、海霧だろうか、辺り全体に灰色の靄がかかっているように見える。修道院の尖塔も霧の中に隠れてしまった。昼食は名物の巨大オムレツを食べるべく、島の入口にほど近いラ・メール・プーラール(La Mére Poulard)というレストランに入ったが、通される席にしろ接客態度にしろ観光客をなめていて感じが悪い上、メニューがボッタクリも良いとこだったので早々に店を出る。しかしオムレツは捨てがたいから、結局城壁のそばにあった同系列のレ・テラス・プーラール(Les Terrasses Poulard)に入ってスモークサーモンと合わせたオムレツを注文。卵がふんだんに使われ、ふわふわとした食感でわりと美味しい。19世紀末に島と陸地を結ぶ道路が完成するまでは、巡礼者は潮の干満を気にしながらこの地を訪れたというが、彼らのために作られたオムレツがこの名物料理の発祥だという。いやそれにしても、これで18.5€はやはり高い。最初に訪れた本家の45€よりはずいぶんマシだが。

モン・サン・ミッシェルを訪れてみて、修道院と島自体には大変な感銘を受けたのだが、それにぶら下がっている観光産業の質が低く、島の入口から修道院にかけての参道は完全に俗化している感も否めない。次々とバスが島に乗り込んできて、続々と観光客が湧き出してくる。むろん自分もその一員なのだが、世界遺産に登録されることによる地元の苦悩というものも間違いなくあるだろう。逆に訪れる方としては、俗化した観光地になっていることを覚悟の上、それはそうと割り切って行くしかないとも感じる。まだ観光シーズンではないから、今日などはかなりゆっくりと回れた方だろう。

帰路
本当は夕方のバスでレンヌに戻る予定だったが、意外にも島が小さくすぐに回れてしまったので、予定を変更して昼下がりの便で帰ることにする。TGVの指定券変更は手数料を取られてしまったが、パリ・モンパルナスには18時半前に帰還することができずいぶんと落ち着いた旅程となった。宿の界隈にある「北海道」というラーメン屋に入ってようやくひと息。

パリの夜
酒田でなくした三脚は目下返送手続き中のため、有難くも主将からお借りした三脚を携え夜景撮影に出かける。オペラ広場、マドレーヌ教会、コンコルド広場、ルーヴル宮の四ヶ所を徒歩で回る。主にスローシャッターで車の光跡を画面上に錯綜させる写真を狙ったが、なかなかうまいバランスのものが撮れない。こればかりは運であるから、何回も試行錯誤することになる。夜も賑わうオペラ広場の交差点で、タクシーの屋根に点灯した緑色のLEDがダイナミックに画面を横切ったとき、不意にもガッツポーズをしてしまったw 横断歩道の脇で三脚を立てていたわけだから、完全に変人である。

写真
1枚目:島が見えてくる
2枚目:列柱廊
3枚目:オペラ座の夜

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