フランス旅行 2日目
フランス旅行 2日目
フランス旅行 2日目
モンマルトルとエッフェル塔を回る。
3/11
サン・ラザール(St. Lazare)駅まで徒歩

St. Lazare → Pigalle
メトロ【12】号線

Pigalle → Anvers
メトロ【2】号線

モンマルトル(Montmartre)散策
サクレ・クール(Sacré Cœur)大聖堂、モンマルトル美術館

Lamarck Caulaincourt → Montparnasse Bienvenüe
メトロ【12】号線

Montparnasse Bienvenüe → Bir-Hakeim
メトロ【6】号線

エッフェル(Eiffel)塔

パリ泊
Baudelaire Opéra

指定券購入
パリで迎える初めての朝である。まずは明日・明後日のストラスブール(Strasbourg)往復、そして四日後のモン・サン・ミッシェル(Mont St. Michel)往復のTGV指定券を手に入れるべく、最寄りの国鉄駅サン・ラザールまで歩く。キャトル・セプタンブル(Quatre Septembre)通りとオーベール(Auber)通りを経由して、1kmあまりだろうか。日曜日の朝は人通りが少なくすがすがしい。空は淡い灰色に曇っている。駅の窓口は英語が通じるとはいえ、こういう切符の手配となると予め書いたメモを持っていくのがやはり確実である。

モンマルトルの丘
今日はモンマルトルの丘を散策しよう。サン・ラザールから12号線で北上し、ピガール(Pigalle)で2号線に乗り換え、アンヴェール(Anvers)で降りる。地上に出るとすぐにサクレ・クール大聖堂へと向かう坂道が続く。両脇に粗悪な土産物を売る店が立ち並ぶ通りは、大聖堂を目指す大勢の観光客で混雑し、あたかも原宿の竹下通りをさらに猥雑にしたかのような様相を呈している。聖堂前の広場付近には、観光客をターゲットにした悪質なミサンガ売りの男たちがたむろしていて厄介である。要りもしないミサンガを勝手に腕に巻いてくるので、立ち止まらずに振り払わねばならない。また、誰が買うのか分からないような粗悪品を並べている物売りも多く、大勢の人々で賑わってはいるものの周囲の雰囲気はあまり良いとはいえない。広場の階段を登りつめたところには大聖堂がそびえ立ち、パリ市街が一望のもとである。しかし今日は靄がかっているために遠景はなかなか望めなかった。

サクレ・クール大聖堂は高いドームが印象的なエキゾチックな外観である。その歴史は意外にも浅く、着工は1877年、完成までに40年の月日を要したという。中に入ってみると今日は日曜日ということでミサの最中であった。聖堂を出て西側に回ったところにはテルトル(Tertre)広場があり、多くの画家たちが観光客の似顔絵を描いたり絵を売ったりしている。治安の良い場所とはいえないが、昔から芸術家が集ったという下町の風情が随所に感じられて面白い。坂道や階段が多いのもこの町の特徴で、とくにテルトル広場の北側、丘の反対側の斜面は小道が複雑に入り組み、人々の生活感が強くなる。モンマルトルの土産物といえば画家たちの描いた絵で、それらが鮮やかに並べられた店先を眺めるだけでも十分楽しめる。ソール(Saules)通りを下っていくと、右手にモンマルトル美術館、その裏手にブドウ畑、そしてその向かいには有名なシャンソニエ、オ・ラパン・アジル(Au Lapin Agile)がある。コーランクール(Caulaincourt)通りまで下りると完全に住宅街である。ル・カフェ・ド・ラ・ビュット(Le Cafe de la Butte)という店で昼食をとる。

午後は再び坂道を登って丘へ戻る。大きく弧を描くジュノー(Junot)大通りの近辺は高級住宅街である。風車が有名なレストラン、ムーラン・ド・ラ・ギャレット(Moulin de la Galette)を見てから、先ほど通り過ぎたモンマルトル美術館へ。もとは個人の邸宅で、ルノワールやユトリロがアトリエを構えた民家を改装したらしい。館内にはロートレックのポスターやオ・ラパン・アジルの旧看板、往時の店のメニューなどが展示されていて、美術館というよりはむしろモンマルトルの歴史博物館である。ユトリロをはじめ、当時の場末で歓楽に溺れながら頽廃的な生活を送っていた画家たちの姿が垣間見える。敷地にはちょっとした庭園もあり、見ると大木からブランコが吊り下がっている。案内板によれば、まさにここでルノワールの『ブランコ』が描かれたという。ちなみに肝心の絵はここにはなく、オルセーに収蔵されている。

エッフェル塔
のんびりと散策していたら夕暮れも近づいてきたので、エッフェル塔へ向かう。セーヌ左岸に並走する地下鉄がないため、メトロでは意外と遠回りになってしまう。最寄りは6号線のビル・アケム(Bir-Hakeim)だが、今から思えばモンパルナス・ビアンヴニュ(Montparnasse Bienvenüe)ではなくシャルル・ド・ゴール・エトワール(Charles de Gaulle Étoile)経由の方が近かったかもしれない。入場券を買い誤ってしまい第二展望台までは階段で登る羽目になったが、イエナ橋のたもとにそびえ立つエッフェル塔は東側にシャン・ド・マルス(Champ de Mars)公園を見渡し、また展望台から俯瞰するパリ市街が何よりの絶景である。

西の方角を見ると、弱く燃える太陽がブーローニュ(Boulogne)の森の彼方、鉛色の雲海に姿を隠そうとしている。日差しはみるみるうちに消えていき、忍び足だった宵闇が強烈なスピードで辺りを包んでゆく。眼下を見渡せば、一つ、また一つと灯りがともっていき、複雑に斜交する街路群が橙色の線条となって浮かび上がってくる。セーヌ河の下流では黄昏の空を背景に、右岸のニューヨーク(New York)通りと左岸のブランリー(Branly)河岸通りを走る車列の灯りが、紫色の川面を両側から飾る。北西の方角では、ライトアップされた凱旋門が藍色に沈むシャルル・ド・ゴール広場に忽然と姿を現したかのようで、北側のモンマルトルの丘に立つサクレ・クール大聖堂は夜のカーテンに身を隠すところである。北東の右岸に整然と並ぶ白い街灯群は、コンコルド(Concorde)広場。その裏手には、闇に沈みゆくチュイルリー(Tuileries)庭園とルーヴル(Louvre)宮が控える。左岸のすぐ手前に見える黄金色のドームはアンヴァリッド(Invalides)で、東側にはシャン・ド・マルス公園が夕方とはまた違った表情を見せて広がっている。気が付けば、宝石のごとき無数の灯りが夜の黒い海に散らばっている。パリの街が最も美しく見えるのは、日没から黄昏にかけてかもしれない。

タクシーでサン・タンヌ通りへ戻る。夕食は通り向かい側の麺舘という店にて。

写真
1枚目:サクレ・クール大聖堂
2枚目:テルトル広場の絵描き
3枚目:黄昏のセーヌ河

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