旧型客車に揺られて。
・千葉みなとへ
朝の久留里線を満喫した後は、SLの始発駅千葉みなとを目指す。蘇我に到着すると、構内の留置線にDL内房線100周年記念号が運転停車していた。ホームには人だかりができ、ロープによる制限が行われている。列車の先頭はDE10 1752が率い、一方の最後尾ではC61 20が白い息を吐きながらしんがりを務める。両機関車の間には7両の重厚な旧型客車が連なる。こうして見るとピカピカに磨かれたDE10もなかなか精悍なもので、赤色が実に良く映えていて美しい。辺りの空気全体を震わせるような汽笛が一声、列車はゆっくりと動き出し京葉線へ入っていく。
後続の快速で千葉みなとに到着すると、ホームは凄まじい様相を呈していた。黒山の人だかりが列車にカメラを向け、ひしめき合っている。駅員はもちろんのこと警察官も大勢出動するという体制で、必死でロープを支えながら群衆を黄線の内側へと押し返している。撮影者は交代交代で写真を撮ってはいるのだが、如何せんこの混沌ではしばらくはまともな構図で撮れそうもない。先月の三十三間堂成人射会を思い出したww 20分ほど粘ってようやく前に出ることが出来たので、数枚の編成写真をカメラに収める。普段はJR型電車しか往来しない京葉線の構内にレトロな編成が佇む様子は不思議である。
白昼の光線を受けて艶やかに黒光りする機関車は勇ましい。発車までは時間に余裕があったのでしばしC61を観察。SLに関しては素人同然なので何も分からないが、それにしてもボイラー周りの複雑怪奇な配管構造、シリンダーから伸びる主連棒、動輪にまとわりつく幾多もの走行装置、それらが金属質の鈍い輝きを放ちながら精緻に連絡し合っている機械構造には何とも惹かれるものがある。蒸気機関車は、歴史の必然とはいえ機械文明が生み出した一種の芸術作品ともいえよう。
・SLの旅
今回は幸いにも一般開放枠の指定券をボックスで確保することが出来たので、一昨年の北海道旅行の面々でSL乗車を楽しむ。よくよく考えてみれば、SLに乗ったのはこれが初めてである。いつも撮ってばかりであったから、今回乗車できたこと、それも旧型客車に乗れたことは非常に貴重な経験かもしれない。車窓に目をやると、沿線の住民がみな手を振ってくれている。地元をSLが走るとなると、やはりそれは見に来るだろう。
姉ヶ崎では1時間以上の停車時間があったので駅前で昼食を調達。ホームでは千葉県のマスコットキャラ「チーバくん」や乗務員との記念撮影イベントが盛大に行われていたので、折角なので撮ってもらったww 各車両の乗車口には2、3人ずつ車掌が立っているということは、この列車には相当多くの乗組員が乗務していることになる。姉ヶ崎を発車してから木更津まではあっという間だが、車内では車掌によるじゃんけん大会が行われ、勝ち残った乗客には数々の記念品が贈呈された。まるで試合後のレセプションのような雰囲気で、愉快なひと時が過ぎてゆく。千葉支社、やるねえ。この力の入れ具合はなかなか凄い。
・夕刻の木更津
木更津に到着すると反対側のホームはまたもや黒山の人だかりである。解放された機関車はいったん君津方へ引き上げ後、久留里線の車庫の脇をかすめて、今度は久留里線ホームの向かい側の留置線へ入ってくる。そこで再び方向転換を行い、今度は車庫の奥へと入っていった。漆黒の巨体から吐き出される白煙は実にダイナミックで、鳴り渡る汽笛は全身の感覚器を震わせる。
駅東口を出て君津方面へ歩き、突き当たった川の対岸から機関車を望む。C61 20は夕刻の斜光線に照らし出され、整備を受けている。乗務員達がぞろぞろと集まってきて、機関車の前に並んで記念撮影を始めた。20人くらいはいるだろうか、かなりの人数である。後に機関士や保線作業員達も撮影に加わり、何とも和やかな雰囲気。「ありがとう」の文字が書かれた鉢巻が掲げられ、最後は川の対岸にいる我々に向かって手を振りながら歓声、そして拍手喝采が湧き起こる。すばらしい一日であった。
・帰路
国鉄色の充当された久留里線943Dを構外から撮影した後、横浜行のアクアラインバスで木更津を後にした。宵闇の迫る東京湾、黄昏に浮かび上がった富士山のシルエットを海上で眺めながら眠りに落ちる。
写真
1枚目:SL内房線100周年記念号(@千葉みなと)
2枚目:旧型客車 スハフ32 2357
3枚目:記念撮影(@木更津)
2330文字
木更津1102(+3) → 蘇我1133(+3)
内房線4064F 快速
9120レ撮影
蘇我1150 → 千葉みなと1154
京葉線1158A 快速
9121レ撮影
千葉みなと1257 → 木更津1532
京葉線・内房線9121レ 快速SL内房線100周年記念号
スハフ32 2357
C61 20撮影
木更津駅東口1720 → 横浜駅1830(+15)
日東交通高速バス
・千葉みなとへ
朝の久留里線を満喫した後は、SLの始発駅千葉みなとを目指す。蘇我に到着すると、構内の留置線にDL内房線100周年記念号が運転停車していた。ホームには人だかりができ、ロープによる制限が行われている。列車の先頭はDE10 1752が率い、一方の最後尾ではC61 20が白い息を吐きながらしんがりを務める。両機関車の間には7両の重厚な旧型客車が連なる。こうして見るとピカピカに磨かれたDE10もなかなか精悍なもので、赤色が実に良く映えていて美しい。辺りの空気全体を震わせるような汽笛が一声、列車はゆっくりと動き出し京葉線へ入っていく。
後続の快速で千葉みなとに到着すると、ホームは凄まじい様相を呈していた。黒山の人だかりが列車にカメラを向け、ひしめき合っている。駅員はもちろんのこと警察官も大勢出動するという体制で、必死でロープを支えながら群衆を黄線の内側へと押し返している。撮影者は交代交代で写真を撮ってはいるのだが、如何せんこの混沌ではしばらくはまともな構図で撮れそうもない。先月の三十三間堂成人射会を思い出したww 20分ほど粘ってようやく前に出ることが出来たので、数枚の編成写真をカメラに収める。普段はJR型電車しか往来しない京葉線の構内にレトロな編成が佇む様子は不思議である。
白昼の光線を受けて艶やかに黒光りする機関車は勇ましい。発車までは時間に余裕があったのでしばしC61を観察。SLに関しては素人同然なので何も分からないが、それにしてもボイラー周りの複雑怪奇な配管構造、シリンダーから伸びる主連棒、動輪にまとわりつく幾多もの走行装置、それらが金属質の鈍い輝きを放ちながら精緻に連絡し合っている機械構造には何とも惹かれるものがある。蒸気機関車は、歴史の必然とはいえ機械文明が生み出した一種の芸術作品ともいえよう。
・SLの旅
今回は幸いにも一般開放枠の指定券をボックスで確保することが出来たので、一昨年の北海道旅行の面々でSL乗車を楽しむ。よくよく考えてみれば、SLに乗ったのはこれが初めてである。いつも撮ってばかりであったから、今回乗車できたこと、それも旧型客車に乗れたことは非常に貴重な経験かもしれない。車窓に目をやると、沿線の住民がみな手を振ってくれている。地元をSLが走るとなると、やはりそれは見に来るだろう。
姉ヶ崎では1時間以上の停車時間があったので駅前で昼食を調達。ホームでは千葉県のマスコットキャラ「チーバくん」や乗務員との記念撮影イベントが盛大に行われていたので、折角なので撮ってもらったww 各車両の乗車口には2、3人ずつ車掌が立っているということは、この列車には相当多くの乗組員が乗務していることになる。姉ヶ崎を発車してから木更津まではあっという間だが、車内では車掌によるじゃんけん大会が行われ、勝ち残った乗客には数々の記念品が贈呈された。まるで試合後のレセプションのような雰囲気で、愉快なひと時が過ぎてゆく。千葉支社、やるねえ。この力の入れ具合はなかなか凄い。
・夕刻の木更津
木更津に到着すると反対側のホームはまたもや黒山の人だかりである。解放された機関車はいったん君津方へ引き上げ後、久留里線の車庫の脇をかすめて、今度は久留里線ホームの向かい側の留置線へ入ってくる。そこで再び方向転換を行い、今度は車庫の奥へと入っていった。漆黒の巨体から吐き出される白煙は実にダイナミックで、鳴り渡る汽笛は全身の感覚器を震わせる。
駅東口を出て君津方面へ歩き、突き当たった川の対岸から機関車を望む。C61 20は夕刻の斜光線に照らし出され、整備を受けている。乗務員達がぞろぞろと集まってきて、機関車の前に並んで記念撮影を始めた。20人くらいはいるだろうか、かなりの人数である。後に機関士や保線作業員達も撮影に加わり、何とも和やかな雰囲気。「ありがとう」の文字が書かれた鉢巻が掲げられ、最後は川の対岸にいる我々に向かって手を振りながら歓声、そして拍手喝采が湧き起こる。すばらしい一日であった。
・帰路
国鉄色の充当された久留里線943Dを構外から撮影した後、横浜行のアクアラインバスで木更津を後にした。宵闇の迫る東京湾、黄昏に浮かび上がった富士山のシルエットを海上で眺めながら眠りに落ちる。
写真
1枚目:SL内房線100周年記念号(@千葉みなと)
2枚目:旧型客車 スハフ32 2357
3枚目:記念撮影(@木更津)
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