晩秋の秩父鉄道 Part 2
2011年11月21日 鉄道と旅行
・荒川橋梁
波久礼1430発の三峰口行に乗る。待避線には返空の7205(7305?)レが停車中であった。ここで待避と交換を同時に行うようである。親鼻で下車し、荒川橋梁を横から狙う定番撮影地へ向かう。駅員から聞いた貨物の時刻を参考に、夕方の撮影はここで決めることにする。
まずは親鼻橋の交差点から河原へ降り、先ほどの7205(7305?)レを撮影[1509]。残念ながら翳ってしまった。次なるは、上り7106レ[1537]。下りの返空とは異なり、上りは貨車に石灰石を積んでいるのでなかなか絵になる。合計20両の貨車が青いデキに連なってゴトゴトと橋梁を渡っていく姿は、まずこの秩父鉄道が第一に鉱山鉄道であることを思わせる。光線状態は最高で、急激に西に傾き始めた太陽から発せられる舐めるような斜光線が、あたかもスポットライトのように橋梁という舞台を照らし出しているかのようである。合間に通過するステンレス車体の普通列車は、鏡のように光線をはね返してまぶしく輝く。その後上長瀞側の対岸へ移動し、反対側の河原から見上げる形で2本ほど撮影した後、最後は橋梁の向こう側から逆光でシルエットを狙うことにした。秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、少し夕日らしくなったと思ったらあっという間に太陽高度が低くなってゆく。すでに東の空は夜のベールが包み始めており、西の空も黄昏時独特のグラデーションを見せている。
7206レはまるで影絵のように登場した[1638]。青インクを流したような色の空に燃え残るかすかな黄色い光、そのスクリーンを背にして、マッチ箱のような形をしたデキが菱形のパンタグラフを掲げ、何両ものヲキを従えながら黄昏の橋梁を渡ってゆく。満載された石灰石の山一つ一つさえも漆黒のシルエットとなって躍動し、鉱石列車独特の轍の音が長瀞の渓谷に淡々と響き渡る。物体をこうも多様に映し出す光の力に改めて心を動かされるひと時。その後まもなく日没を迎え、急激に冷え込んできた。303レ[1704]と7405レ[1722]まで粘って今日の撮影を終える。最後の方はほぼ闇に包まれてしまい大したものは写らなかったが、橋梁の後ろ、西の空低くに金星が瞬いていた。
上長瀞1739発の下り電車で去る。隣の親鼻で7306レと交換[1742]。宵闇に佇む鉱石列車というのもなかなか魅力的である。機会があればまた訪れてみたいところ。西武秩父の仲見世通りで「秩父錦」の純米吟醸と「武甲正宗」の特別純米を土産に買って帰る。充足の一日であった。
写真
1枚目:昼下がりの本線を下る(@波久礼~樋口)
2枚目:荒川橋梁を渡る鉱石列車(@親鼻~上長瀞)
3枚目:黄昏時のシルエット(@親鼻~上長瀞)
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波久礼1430発の三峰口行に乗る。待避線には返空の7205(7305?)レが停車中であった。ここで待避と交換を同時に行うようである。親鼻で下車し、荒川橋梁を横から狙う定番撮影地へ向かう。駅員から聞いた貨物の時刻を参考に、夕方の撮影はここで決めることにする。
まずは親鼻橋の交差点から河原へ降り、先ほどの7205(7305?)レを撮影[1509]。残念ながら翳ってしまった。次なるは、上り7106レ[1537]。下りの返空とは異なり、上りは貨車に石灰石を積んでいるのでなかなか絵になる。合計20両の貨車が青いデキに連なってゴトゴトと橋梁を渡っていく姿は、まずこの秩父鉄道が第一に鉱山鉄道であることを思わせる。光線状態は最高で、急激に西に傾き始めた太陽から発せられる舐めるような斜光線が、あたかもスポットライトのように橋梁という舞台を照らし出しているかのようである。合間に通過するステンレス車体の普通列車は、鏡のように光線をはね返してまぶしく輝く。その後上長瀞側の対岸へ移動し、反対側の河原から見上げる形で2本ほど撮影した後、最後は橋梁の向こう側から逆光でシルエットを狙うことにした。秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、少し夕日らしくなったと思ったらあっという間に太陽高度が低くなってゆく。すでに東の空は夜のベールが包み始めており、西の空も黄昏時独特のグラデーションを見せている。
7206レはまるで影絵のように登場した[1638]。青インクを流したような色の空に燃え残るかすかな黄色い光、そのスクリーンを背にして、マッチ箱のような形をしたデキが菱形のパンタグラフを掲げ、何両ものヲキを従えながら黄昏の橋梁を渡ってゆく。満載された石灰石の山一つ一つさえも漆黒のシルエットとなって躍動し、鉱石列車独特の轍の音が長瀞の渓谷に淡々と響き渡る。物体をこうも多様に映し出す光の力に改めて心を動かされるひと時。その後まもなく日没を迎え、急激に冷え込んできた。303レ[1704]と7405レ[1722]まで粘って今日の撮影を終える。最後の方はほぼ闇に包まれてしまい大したものは写らなかったが、橋梁の後ろ、西の空低くに金星が瞬いていた。
上長瀞1739発の下り電車で去る。隣の親鼻で7306レと交換[1742]。宵闇に佇む鉱石列車というのもなかなか魅力的である。機会があればまた訪れてみたいところ。西武秩父の仲見世通りで「秩父錦」の純米吟醸と「武甲正宗」の特別純米を土産に買って帰る。充足の一日であった。
写真
1枚目:昼下がりの本線を下る(@波久礼~樋口)
2枚目:荒川橋梁を渡る鉱石列車(@親鼻~上長瀞)
3枚目:黄昏時のシルエット(@親鼻~上長瀞)
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