3/7 → 3/8
上野1903 → 札幌1115
東北本線・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道・津軽線・海峡線・江差線・函館本線・室蘭本線・千歳線1レ 特急北斗星
オロハネ25 501
・旅立ち
札幌行北斗星は、静かに上野駅13番線を後にする。旅立ちの宵、東京には冷たい雨が降りしきる。ネオンの海をくぐり抜けて、列車は東北本線を一路北上。1往復に削減されたとはいえ、カシオペアと並び依然根強い人気を誇る寝台特急は、今日も首都圏と北海道を結ぶ。終着の札幌までは、およそ16時間の長旅である。
ロビーにてしばし談笑。先輩方とこのように鉄道旅行に出かけるとは思いもよらなかったが、「縁」を実感する局面でもある。車中泊も含めるとこれから5泊6日、北海道を反時計回りに一周する壮大な行程が待っているのであるから、何とも楽しくなりそうである。
旅立ちというのは、日常から非日常への入り口。最近は代々木の帰りに夜行列車に乗り込むことが多くなったが、あたかも普段着のままプールに飛び込むような感覚、非日常という名の深海に突如溺れるようなこの感覚が好きだ。
赤絨毯が敷き詰められ、温かな照明に彩られた食堂車は、至高の空間である。ビーフカレーを注文。なかなか美味しい。辺りは闇に沈み、車窓はおよそ車内が映り込むのみであるが、身をもって感じる振動、かすかに震え続けるコップの水面が、列車の走行を物語る。今や札幌行の寝台特急三列車に連結されるのみとなった食堂車。国鉄時代の本来の姿からは程遠く脚色されてしまったのだろうが、鉄道旅行の愉しみを今に伝える貴重な遺産である。日付の変わる頃、個室に戻って眠りについた。
目が覚めると既に薄明るい。青函トンネルへの進入までには起きてこれを見届けるつもりだったが、どうやら列車は既にトンネルを抜け、江差線を函館に向け走って模様。右手の車窓を見ると、ちょうど海峡に陽が昇るところであった。半島の陰から姿を現した赤い太陽は、一日の始まりを告げる。江差線は線形が悪く、列車はひたすら海岸線をなぞって津軽海峡の北岸を東進。6時過ぎ、定刻で函館に到着。ここでDD51の重連に機関車を交換。終着まで残すところ5時間あまりとなった。
個室で漫然と車窓を眺めてみる。列車は内浦湾の沿岸を快走。雪がちらつくこともあるが、空はおおむね晴れている。トンネルを抜けるたびに、入り江の谷に守られた集落が現れる。紺碧色の早春の海は、新たなる季節への期待に満ちて、穏やかな姿を横たえている。東室蘭を過ぎた頃、遅めの朝食をとる。食堂車には、すがすがしい朝の光が差し込む。札幌には11時15分に到着。夜が明けてからの時間をゆったりと過ごせるのが何とも良かった。
参考:3月7日発1レ 北斗星の編成
(←札幌)機関車DD51 1137+1138・機関車EF81 92・1号車オハネフ25 8・2号車オハネフ24 502・3号車オハネ25 562・4号車オハネ25 564・5号車オハネ25 552・6号車スハネ25 502・7号車スシ24 507・8号車オロネ25 505・9号車オロハネ25 501・10号車オロハネ24 553・11号車オハネフ25 14・電源車カニ24 506・機関車ED79 ?(上野→)
写真
1枚目:発車前(@上野)
2枚目:食堂車の宵
3枚目:早朝の大沼公園をゆく
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