鳩原は銀世界
鳩原は銀世界
鳩原は銀世界
国鉄色特急雷鳥、銀世界に舞う。

2/20
北陸本線撮影(@鳩原ループ線周辺)

道口1452 → 敦賀駅1504
敦賀市コミュニティバス 愛発線 福井200 か 251

敦賀1530(+7) → 近江塩津1545(+6)
北陸本線3179M 新快速 クハ222-2047

近江塩津1605 → 米原1642
北陸本線3285M 新快速 クハ222-1003

米原1654 → 新横浜1851
東海道新幹線524A ひかり524号 326-19

雷鳥を追う
ゆうべは雪が降ったようだ。未明の街はうっすらと雪化粧である。国道8号線を南下すること4kmあまり。歩行者の存在が想定されていないので、道口あたりまで来ると歩道がなくなり、道路の幅員が狭くなる。すぐ隣をトラックが猛然と駆け抜けてゆくこともしばしばであるから、実に恐ろしい。最も苦労したのは、縁石付近に敷かれたパイプから勢いよく噴出する融雪スプリンクラーの水で、道路全体を見渡すとまるで壮大な噴水のようである。幾条ものゆるやかな放物線を描く水鉄砲を跨ぎ跨ぎ進み、ようやく鳩原の集落に到着と相成った。

清冽な笙の川の流れを渡り、上下線のクロス地点に到着。第二衣掛トンネル脇の山道を登るわけだが、一面に積もった新雪には既に足跡がついているから、おそらくは先客がいるのだろう。鼻腔を貫く冷気、靴底に伝わる雪の感覚、響き渡る音。すがすがしい冬の朝は五感が研ぎ澄まされる。山中の木々は見事に着雪しているが、谷に陽が昇ってまもなくすると、きっと瞬く間に融けてしまうだろう。7時45分からの1時間のうちに、雷鳥が2本と、貨物列車、そして日本海が続々と通過してゆく。このゴールデンアワーが勝負となるはずだ。

第一衣掛トンネルを抜けた列車は表情豊かなS字カーブを駆け抜けて山の中腹を横断し、鳩原トンネルへと消えてゆく。そのS字の始まりの部分を、アウトカーブの構図で狙うことになる。空は明るい黄色。太陽は姿を見せないが、薄雲のすぐ後ろに控えていることは明らかである。背景に聳える無数の木々は依然として見事な着雪。やがて最初の雷鳥が通過。青白い朝の銀世界、国鉄色の堂々9両編成が、壮大なアウトカーブを駆け抜けてゆく。雷鳥、華麗に舞った。サンダーバードやしらさぎは雷鳥の練習台というイメージしかなかったが、白で統一された車体はむしろすがすがしい世界にふさわしい。ゆうべ降ったばかりの粉雪を豪快に蹴散らしながら大阪へと急いでゆく。これぞ特急街道、北陸本線。貨物も日本海も無事に通過。日本海の頃になると木々の着雪もほぼ半減してしまったが、ローズピンクのEF81で何よりである。特別に用意された美しい舞台を、幾本もの列車が走り抜けた。

山を降りると天気が崩れ雪が降り出してきたので、鳩原神社踏切の奥にある神社で雪をしのぐことにした。踏切を渡った奥は真っ新の雪原。自分の足跡だけが残ってゆく。鳥居をくぐり、建物の軒下へ。雪は止みそうにない。面倒なので、鳥居と踏切を絡めて下り雷鳥をここから撮ってみる。漠然とした予定ではこの後色々と撮影地を移動する予定だったのだが、鳩原近辺だけでも十分と判断して、小河口やNo.420での撮影は諦めることにした。後追い、正面切り取り、S字カーブなどなど、色々な構図を試してみる。今なお全列車が国鉄色485系9両編成で運転されているというのは、もはや奇跡に近い。その最後の勇姿を網膜と撮像素子に焼きつけるわけである。

最後は道口のインカーブを訪れた。ここで下りトワイライトエクスプレスと雷鳥を仕留めて、撤収する。時々激しいみぞれの降る曇天で、早朝には綺麗に残っていた雪も昼下がりともなれば見る影もなくなってしまった。しかしながらこの撮影地は編成美を前面に押し出せるのが強みであろう。道口からはコミュニティバスで駅まで戻った。土曜日はそれなりに本数があるので利用しやすい。

家路
昨秋が如く、まずは普通列車を乗り継いで米原まで出る。そこから12分の接続で東京行ひかりに乗車。今日は太平洋側は快晴だった模様。長良川と木曽川を照らし出す斜陽が美しい。名古屋を過ぎれば小田原まで停まらない。明日の予習をするも、うつらうつらしていたら、あっという間に新横浜に到着となった。寒々しかった厳冬の撮影行もこれにて終幕。

ふたたび、日常に引き戻されるのである。

写真
1枚目:特急雷鳥、銀世界(@敦賀~新疋田)
2枚目:名門特急、日本海(@敦賀~新疋田)
3枚目:編成美(@新疋田~敦賀)

2137文字

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索