さらば九州ブルトレ Part 2
さらば九州ブルトレ Part 2
さらば九州ブルトレ Part 2
4時30分、起床。もっと眠っていたいところではあるが、昨夜東京で見送った最終列車を見送るには、そろそろ出発せねばならない。

新山口502 → 戸田531
山陽本線2526M モハ115-2029
夜の明けない駅前は閑散としてまだ真っ暗。昨夜の雨は既に上がったようである。上りの始発列車に乗り込んだ。戸田駅で降りたのは私一人であった(難読駅名:へた)。

@桑原漁港
何故戸田で降りたか。山陽本線は海線と呼んで差し支えないのかもしれないが、実際に海に面する区間はわりと限られる。その中で、戸田~富海間では、山陽本線は周防灘に極めて接近して走る(難読駅名:とのみ)。富士・はやぶさは瀬戸内海に別れのホイッスルを吹鳴して駆け抜けることになるだろう。山陽路で朝を迎えた最終列車を見送る場所としてふさわしいと考えたのである。

四郎谷という有名撮影地も存在するこの区間だが、若干遠いのと、撮れる写真の多様性という観点から、今回は諦めることにした。私が向かったのは、桑原という小さな漁港。これまでにいくつか作例を拝見したことがあったのだが、その漁港の表情などを絡められるところに魅力を感じたのである。

駅前には国道2号線が走る。途中で脇道に逸れ、桑原漁港への道を歩く。電灯が少ないため、道は真っ暗でやや恐ろしい雰囲気である。奥の闇に向かってひたすら歩くこと20分あまり。山陽本線を跨ぐところまでやって来ると、線路がカーブしたその先に、本当に幽かなのだが、暗い水平線を目にした。海である。その後は下り坂で、小さな集落に行きつく。視界が開けると、そこは未明の漁港。人々はまだ眠っているようだ。点々と並んだ電灯は、突堤に並んだ灯り。赤い電灯は、突堤の先端を示しているのだろう。静謐な早朝である。

西側にある突堤の先端まで向かう。昨夜の雨の水たまりが残っている。海はすぐ下の足元。入り江の波は穏やかで、海面は黒々と揺れている。潮風は非常に冷たく、凍える思いである。漁港の風景を絡めて、とりあえず貨物列車や普通列車などを撮影する。運行情報を確認してみると、どうやら最終富士・はやぶさは100分ほど遅れて走っているようだ。ということは、この先の行程を繰り下げねばならなさそうである。ようやく朝日が昇って来たが、やはり非常に寒い。辺りには、釣り人の姿が2人ほど見えるのみ。遠くを見渡せば、海岸線が美しい。この漁港からは岬に隠されて見えないが、一つ西側の入り江である四郎谷からは、人間魚雷回天の悲哀をこめた大津島が見えるという。

到着したのは6時過ぎであるから、結局3時間弱も待ったことになる。富士・はやぶさはようやくやって来た。汽笛が聞こえる。海に別れを告げているのだろうか。EF66に率いられ、青い客車の長大編成が漁港の真上を駆け抜けてゆく。東京発の特急列車、毎朝の風景も、今日限りである。最後は、突堤の西側から望遠で撮影。桑原漁港通過から1分あまり経つと、青い列車はトンネルの合間に姿を現して、やがて山の中に消えていった。

写真(@戸田~富海)
1枚目:朝を迎えた最終列車。
2枚目:青い流星の如く駆け抜けてゆく。
3枚目:周防灘に別れを告げる。

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