石巻線の貨物列車 Part 9
2008年4月3日 鉄道と旅行
さて、本日の撮影もいよいよ終わりが近づいて参りました。つまるところ、今回の旅行における撮影も間もなく終極を告げようとしているということです。そこで、最後にふさわしいのかどうかは分かりませんが、ラストは前谷地駅での貨物列車の交換に再度挑戦してみることにしました。まずは黄昏時の小牛田駅へ戻ります。
待合室に帰ってくると、先ほどの方がいらっしゃいました。彼はこの次の小牛田行でここを去り、今晩は小牛田に泊まられるとのこと。翌朝からも撮影を行われるそうですが、是非頑張って下さい。そして本日は色々と御世話になり、本当にありがとうございました。また何処かでお会いすることがあれば、どうぞよろしくお願い致します。
17時49分、鳥谷坂トンネルのさらに向こう側でしょうか、2灯のヘッドライトがほんの小さく目に映るようになりました。2分ほどかけてその灯りはじりじりとこちら側へと近づいてきます。ここがまた直線区間の面白いところで、思ったより遠くまで見渡せているために2kmほどの距離があっても列車の接近を知ることができるわけです。やがて、いよいよ踏切にまで差し掛かって来た列車を、長めのシャッターで何枚か撮影。日は既に山の向こう側へと落ちてしまい、空は淡い茜色に染まっていました。そのかすかに色づいた光を鉄路がぼんやりと反射するような黄昏時の前谷地駅、木造の跨線橋をくぐりゆっくりと入線してきた659レを牽引するのは、国鉄色を身に纏う1693号機でした。
そんな茜色の空も長くは続かず、ほどなく寒々しい闇が空を包み始めます。659レがホームに静かに佇む間にも日の光はますます弱まっていき、いよいよ夜の帳が下りてきたような感。先ほどから冷たい風が吹きすさぶようになり、夜の到来を告げているかのよう。時折シャッターを切り、木立のさんざめく音に囲まれながら待つこと10分弱、今度は背後から上り列車が現れました。1120号機の牽引で、速度を落としつつやはり前谷地駅へと入っていきます。停車。そしてここに実現した貨物列車の交換。
毎夕毎夕、日常の風景として行われているようなことなのでしょうが、そんな何気なさの中に何か素晴らしいものを感じ取れるような気がします、石巻線。勿論私が一旅行者であることに変わりはなく、それによる部分もかなり大きいとは思うのですが、しかしやはり何か惹かれるものがあるといっても過言ではない。1秒ずつでさえ明度が落ちているかのような空の下、停車中の2列車を満足のいくまで撮影し、間もなくやって来た発車時刻。
まずは上り652レが発車。次いで、下り659レがヘッドライトを点灯。束の間のシャッターチャンスだったとはいえ、風に煽られてしまったためか、わずかに画面がブレてしまったのは不覚でしたが、しかしそれでもなお、両貨物列車が共にホームを去っていく様は実に印象的でありました。ゆっくりと動き出した659レは、慎重な足取りでポイントを通過。そして轟音を上げた機関車は私の脇を重々しくかすめ、コキを連ねて日の暮れた石巻線を下って行きました。遂に終わりましたね( ´∀`)
駅に戻るとすっかり辺りは真っ暗。先ほど駅に着いた時は駅員氏が改札業務などを行っていたのですが、どうやら既に営業時間外となってしまったようで、夜の前谷地駅はひっそりと静まり返っていました。無人の待合室でしばし感傷に浸りつつ、小牛田行の列車を待ちました。
是非とも再訪したい線区です。その時を楽しみに待ち望むこととしましょう。それでは、さらば石巻線。
そうして、今回の撮影行は幕を閉じたのでした。御世話になった皆様ありがとうございました。気がつけば春休みも終盤ですね。
写真:石巻線659レ・652レ@前谷地
交換を済ませ、いざ発車!
2642文字
・小牛田1707→前谷地1723これまでは「石巻→東京都区内」の乗車券における途中下車という扱いで改札を出てきたのですが、再び前谷地に引き返すと経路に逆行することとなるので、ここは往復乗車券を購入。そして17時7分発の気仙沼行に乗車し、先ほどと同じ道のりを経て前谷地に向かいます。再び雲から姿を現したのか、涌谷を過ぎた頃に車内に差し込んできた夕日がなかなか綺麗でありました。
石巻線 キハ48 553
待合室に帰ってくると、先ほどの方がいらっしゃいました。彼はこの次の小牛田行でここを去り、今晩は小牛田に泊まられるとのこと。翌朝からも撮影を行われるそうですが、是非頑張って下さい。そして本日は色々と御世話になり、本当にありがとうございました。また何処かでお会いすることがあれば、どうぞよろしくお願い致します。
・@前谷地20分ほど後に到着する下り659レと、そのさらに10分ほど後にやって来る上り652レとの交換を狙うわけですが、昼間に目をつけておいた、佳景山方にある踏切へと向かいました。名前を中坪第3踏切といい、望遠で前谷地駅の構内を捉えることが出来ます。昼間に設定されている貨物列車同士の交換とは異なり、特筆すべきは今回は両列車が停車するということ。ちょうど日の入りの時刻と重なっているので光量はかなり落ちてくるのですが、三脚があれば撮影の幅も広がります。
17時49分、鳥谷坂トンネルのさらに向こう側でしょうか、2灯のヘッドライトがほんの小さく目に映るようになりました。2分ほどかけてその灯りはじりじりとこちら側へと近づいてきます。ここがまた直線区間の面白いところで、思ったより遠くまで見渡せているために2kmほどの距離があっても列車の接近を知ることができるわけです。やがて、いよいよ踏切にまで差し掛かって来た列車を、長めのシャッターで何枚か撮影。日は既に山の向こう側へと落ちてしまい、空は淡い茜色に染まっていました。そのかすかに色づいた光を鉄路がぼんやりと反射するような黄昏時の前谷地駅、木造の跨線橋をくぐりゆっくりと入線してきた659レを牽引するのは、国鉄色を身に纏う1693号機でした。
そんな茜色の空も長くは続かず、ほどなく寒々しい闇が空を包み始めます。659レがホームに静かに佇む間にも日の光はますます弱まっていき、いよいよ夜の帳が下りてきたような感。先ほどから冷たい風が吹きすさぶようになり、夜の到来を告げているかのよう。時折シャッターを切り、木立のさんざめく音に囲まれながら待つこと10分弱、今度は背後から上り列車が現れました。1120号機の牽引で、速度を落としつつやはり前谷地駅へと入っていきます。停車。そしてここに実現した貨物列車の交換。
毎夕毎夕、日常の風景として行われているようなことなのでしょうが、そんな何気なさの中に何か素晴らしいものを感じ取れるような気がします、石巻線。勿論私が一旅行者であることに変わりはなく、それによる部分もかなり大きいとは思うのですが、しかしやはり何か惹かれるものがあるといっても過言ではない。1秒ずつでさえ明度が落ちているかのような空の下、停車中の2列車を満足のいくまで撮影し、間もなくやって来た発車時刻。
まずは上り652レが発車。次いで、下り659レがヘッドライトを点灯。束の間のシャッターチャンスだったとはいえ、風に煽られてしまったためか、わずかに画面がブレてしまったのは不覚でしたが、しかしそれでもなお、両貨物列車が共にホームを去っていく様は実に印象的でありました。ゆっくりと動き出した659レは、慎重な足取りでポイントを通過。そして轟音を上げた機関車は私の脇を重々しくかすめ、コキを連ねて日の暮れた石巻線を下って行きました。遂に終わりましたね( ´∀`)
駅に戻るとすっかり辺りは真っ暗。先ほど駅に着いた時は駅員氏が改札業務などを行っていたのですが、どうやら既に営業時間外となってしまったようで、夜の前谷地駅はひっそりと静まり返っていました。無人の待合室でしばし感傷に浸りつつ、小牛田行の列車を待ちました。
・前谷地1848→小牛田1908女川始発の小牛田行はここで気仙沼行の南三陸3号と交換。跨線橋を渡って3番線に赴き、発車を待ちます。ほどなくキハ110系の快速は到着し、やがて急ぎ足で駅を後にして行きました。仙台始発で指定席も連結するこの列車はそれなりの需要があるのでしょう。やがてこちらの普通列車も発車。既に闇となった車窓に時折目をやりながら、私は石巻線の旅を終えたのでした。
石巻線 キハ48 552
是非とも再訪したい線区です。その時を楽しみに待ち望むこととしましょう。それでは、さらば石巻線。
・小牛田1926→古川1938帰京の途につきます。まずは陸羽東線で古川へ。この区間はなかなか本数が多いので便利ですね。軽快なキハ110に揺られて10分あまり。
陸羽東線 キハ110−241
・古川1945→大宮2130そして最後の列車は新幹線。普通列車に乗り慣れていると、あたかも首都圏までワープしたかのような感覚です。そしてそれこそが新幹線の最大の特徴であり、また醍醐味でもあることは確かです。
東北新幹線やまびこ66号 224−1406
そうして、今回の撮影行は幕を閉じたのでした。御世話になった皆様ありがとうございました。気がつけば春休みも終盤ですね。
写真:石巻線659レ・652レ@前谷地
交換を済ませ、いざ発車!
2642文字
コメント