石巻線の貨物列車 Part 1
さて、予定通りに小牛田に着いたわけですが、問題はここからといったところでしょうか。というのは、12時6分に到着するはずの1652レがどうも現れない様子なのです。旅客列車とは違い、貨物列車というのは荷主の都合で運休になったりするものですから、不吉にも「ウヤ」という二文字が脳裏をよぎり始めてしまいました。

@小牛田
元々の行程に従って12時13分発の気仙沼行2941Dの発車を見送り、ひとまず待ってみることにします。そして不安な思いをしながら待つこと20分ほど、東へ大きくカーブする石巻線の線路に、DE10率いる長編成の貨物列車がひょっこりと姿を現したのでした( ´∀`) どうやら先ほど発車した2941Dと涌谷で交換してきたものと見られます。ダイヤが乱れているのでしょうか。

牽引していたのは国鉄色のDE10 1591号機。白昼の日差しに朱色の塗装が映えて美しいですね。遅1652レと思われる列車から切り離されると、機関車は構内で入換作業。機関士は操車係と無線でやり取りをしながら、既に停められていたコキの長い編成に機関車を連結したのでした。石巻線ホームから一連の流れを目にすることが出来ますが、なかなか面白いものです。しばし撮影に耽っていました。

ところが、12時45分に女川からの1634Dが到着してから10分ほどが経過すると、予想外の事態が起こったのでした。というのも、組成が完了したと見られるこの貨物列車が発車してしまったのです。当然のことながらこのようなスジは存在しませんので、どうやら完全にダイヤが乱れている模様( ´・ω・`) 予め手書きのダイヤグラムを作成してきたのですが、今日は乱れたスジを予想することにしか使えなさそうですね。となると、先ほど遅れて到着したのは遅1652レではなく、さらにその1本前の1650レが大幅に延着したものと予測できたわけです。すると、今し方発車したのは遅655レということになり、そうなればこれと交換することになっている本当の遅1652レはもしや前谷地あたりで待ち構えているのではないでしょうか。とにかく、女川行に乗るとしましょう。

小牛田1312→前谷地1331
石巻線 キハ48 1535
石巻線と気仙沼線の普通列車はその大部分がキハ48やキハ40で運転されています。考えてみれば、花輪線、山田線、岩泉線がキハ110化された今、国鉄型気動車が走る線区も数えるほどになってきた感があります。とりわけこの石巻線と、あとは只見線を走る車両のカラーリングは、現行のJR塗色の中では最も秀逸なものなのではというのが個人的な感想で、地味ながらもそのような車両がまだまだ活躍してくれているというのは喜ばしいことです。

さて、小牛田を発車した列車は東に大きく反れていき、上涌谷、涌谷と停車していきます。この辺りまでは市街地といった感が結構強いのですが、次の前谷地にかけては駅間が比較的長く、何より、石巻までの区間で考えれば唯一のトンネルが存在する箇所でもあります。これは言ってみれば田園風景に絶妙なアクセントがつく場所ということであり、それゆえに好撮影地も点在しているというわけです。今回の撮影行でもこの区間を中心に動いていくことになりそうです。

そして20分ほどで前谷地に到着するのですが、案の定、対向の上り貨物列車が既に停車していました。恐らくこの1639Dとの交換待ちということなのでしょう。ダイヤグラムを参照すると、遅1652レと見られるこの列車について、この後隣の涌谷で気仙沼行2943Dと交換して終点の小牛田に至るという幻のスジが自ずと浮かんできました。まさにダイヤグラムのもつ視覚的な威力ですね。

@涌谷〜前谷地
先ほどは想定外のスジで遅655レが発車したため残念ながら撮影できる列車を1本落としてしまったことになるのですが、ここは気を取り直して、14時台にやって来るであろう下り657レと上り650レを、前谷地から涌谷方のトンネルに至るまでの直線区間で狙ってみようと思います。

まずは前谷地に停車中の遅1652レを色々と撮影。牽引は国鉄色のDE10 1693号機。満載のコンテナ貨車を従えて昼下がりに佇むその姿は、いかにも貨物列車らしい貫禄を醸し出しています。10分ほど後、ようやく信号が変わって列車は動き出しました。煙突から排煙を噴き上げて発進、重々しくコキの長編成を引き出して走り去っていくDE10の姿はなかなか様になっていて勇ましいです。

その後、線路脇の農道を通って撮影地へ移動。もうすぐやってくると踏んでいた657レと650レですが、現実はそう甘いものではないわけです。本来ならば前者は14時28分頃、後者は14時34分頃にそれぞれ通過するはずなのですが、実際にやって来たのはこれの1時間後でした( ´・ω・`) 今日は南西の風が強烈で、倒れてしまわないよう三脚を押さえつつ、定刻で走る普通列車を時折撮影し、そして鼻をかみながら吹きさらしになるという1時間・・・さすがに疲弊。まぁここは根性ですね。

しかし、やって来たのは両方とも国鉄色の牽引でした。遅657レが1693号機、遅650レが先ほどの1591号機。こうなれば苦労が報われたような気がします( ´∀`) 殊に後者の方は夕方に差し掛かってきた頃の絶妙な斜光線に編成が映え、満足のいく仕上がり。前者も、トンネル口のそばに建つ萱葺き屋根の農家と絡めることが出来、やはり満足といったところであります。一時は諦めてしまおうかとも思いましたが、ここは待った甲斐がありました。ちなみに両列車は前谷地で交換するダイヤが組まれています。

さて、次の下り普通列車まではまだずいぶんと時間がありますから、ロケハンを兼ねて付近を歩いてみることにします。小牛田〜石巻間唯一のトンネルは名前を鳥谷坂トンネルといい、小山を貫く短い隧道です。試しにこのトンネル脇にあった小道を上がっていくとポータルの上に出られ、さらにそこの斜面を登っていくと山の中に入ります。ここからはプチ登山といった感じで、針葉樹の聳える林の中を上へと進んでいくと、やがて舗装された道路に出ました。どうやら斜面を登り切れたようです。そしてここから右手に向かうと墓地に至るのですが、周りを囲む針葉樹の茂みの中にわずかに人が立てるような場所があり、そこからは石巻線の線路を壮大に俯瞰することができます。ここは明日の朝に訪れるとしましょう。

そんな感じで楽しみにしつつ道を下っていると、更新色の機関車率いる下りの貨物列車が走って来るのが三叉路の辺りで目に入ってしまったのでした。先ほどの俯瞰場所にもう少し留まっていれば撮影できたわけで、撮り逃しはいささか残念( ´・ω・`) 1638Dと涌谷で交換した模様です。いくらダイヤが乱れているとはいえダイヤグラムがあれば十分予想できたスジですので、気が緩んでしまってたということでしょうか。

その後は山を降り、前谷地駅に戻ったのでした。

写真:石巻線657レ@前谷地〜涌谷
12両のコキを従えて、夕刻の石巻線を上ってゆく。

3060文字

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索