冷雨の磐越路
土・日きっぷの本券と、そばにあった4枚の指定券。夕べ断念した旅行であるが、これらを眺めていると矢も楯もたまらなくなり、583系との対面を心待ちにしながら、雨の降りしきる昼下がり、私は大宮駅の新幹線ホームにいた。目指すは磐越西線。あいづライナーを求め、北へ向かうわけである。

大宮1402→郡山1455
東北新幹線 やまびこ55号
さて、こんな感じで始まった半日旅行、思い立ったのは今朝起きてからまもなくでした。このまま土・日きっぷを見捨ててしまうのはあまりにも勿体ない、それにこの旅行における一つの大きな目的でもあった583系の堪能、これを諦めてしまうのはやはり非常につらい、そういった思いで、散髪に行った後、急遽出かけました。また今日は何処も雨模様のようですから、所謂「乗り鉄」を楽しむには絶好の機会ではないかと、そうも感ぜられたわけです。

で、さすがは新幹線、すぐに宇都宮に着いたと思いきや、大宮からたったの53分で下車駅の郡山に到着してしまいましたww

郡山1522→会津若松1631
磐越西線 快速あいづライナー3号 モハネ583−100
在来線ホームに降り立つとまもなく、2番線に列車はやって来ました。583系あいづライナーです(・∀・) その荘重な車体をしっとりと雨に濡らしながら、厳かに入線してきた583系。何時見ても本当に美しい。特急型電車の最高傑作ではないかと、さすがに大げさかもしれないが、いやしかし私はそこまで言っても過言ではないと思っています。掲げているのは真紅の「あいづ」マーク。「あかべぇ」の絵が小さく隅に入っているのもなかなか粋なところ。側面には、583系特有の正方形をした行先幕。そして何よりも、この塗り分け。発車までの20分など、ひたすら撮り続けていたらほんのあっという間の時間です。

さて、いよいよ乗り込みましょう。往路は予め指定券を用意しておいたのですが、指定席車には私を含め乗客は4人。何とも快適です。かなり高い天井、そしてその両脇にある寝台収納。細い天井からの灯りにやや薄暗く照らされた広いボックス席。青いモケットに、緑色の化粧板。この車両独特の雰囲気は、やはり乗って初めて分かるもの。車内にもどこか、他の車両とは一線を画したような重々しい味わいが感じられます。

ゆっくりと滑り出した列車は、やがて加速を開始。郡山の構内を抜けると線路は逸れ、あいづライナー3号は会津若松を目指して、雨の磐越西線を西進し始めたのでした。郡山に近いうちはまだ家々が目立ちますが、磐梯熱海を過ぎる頃になると次第に山の中へ。ゴトゴトと背中を突く心地良い振動。さすがは特急車両と言わんばかりの安定した走りに揺られ、雨の車窓に目をやる・・・何とも乙なものです。列車はやや高い場所を走っているようで、下方に雨の集落を見下ろしつつ進み、やがて沼上信号場で交換待ちとなりました。その後しばらく走るとどうやら平地に戻った様子。ずいぶんと景色が開けてきたと思った頃、猪苗代に到着し、わずかの停車時間で再び発車。そして列車はまた山の中へ。外はさぞ寒いのでしょう。そんな雨の磐越路を583系に揺られて進んでいく、良いですね(・∀・)

それにしても座席が広くて快適です。このどっかりとした安定感は他になかなか無いでしょう。特急車両といえどもリクライニングが出来ないことに疑問の声があるのはもっともですが、それでもなおこの座席は評価に値します。私は浅い眠りに落ち、気がつけば広田を通過したところでした。まもなく終点の会津若松です。

@会津若松
日も暮れかかって空はいよいよ明るさを落とし、また肌寒さも感じられる黄昏時です。5分の接続で発車する新津行普通列車の後ろ側には朱色塗装のキハ40 583が連結されていました。この列車を見送ると、やがて同じホームに小出行の只見線の列車が入線。こんな感じで、1番線に停車中のあいづライナーも反対側から撮影したり何なり色々行っていると、折り返しの30分あまりも実にあっという間でした。復路は指定券を手配していなかったので自由席車へ。そこそこの乗車率です。

会津若松1708→郡山1812
磐越西線 快速あいづライナー6号 クハネ583−8
小出行が出た数分後にあいづライナーも発車します。ここからは今までの道のりをそのまま逆戻りするのみという単純な行程ですが、帰りも583系とはまことに嬉しい限り。会津若松を去った頃には空は既に暗い青色となり、磐梯町を過ぎると車窓の向こう側は一面の霧。木々の黒い影が幾本も目の前を過ぎ去って行き、コーヒー片手にそれをただ眺める・・・うーん(´∀`) 猪苗代に着くと既に真っ暗。途中の小駅を一瞬のうちに通過して行き、列車は郡山へ急ぎます。何だか夜行列車に乗っているかの如き風情。山を越えて、出発から小一時間が経過した頃、磐梯熱海に停車。交換待ちのために3分間停車とのことだったので、少しだけホームに降りてみました。無人のホーム、漆黒の空、そして青とクリーム色の塗装を湛えて静かに佇む583系。思わず1枚を撮影。その後すぐに発車となり、10分ほど走ると終点の郡山に到着です。出来ることならまだまだ乗っていたいのですが、しかし残念ながらもう終点。ホームを去って行く583系に別れを告げ、私は新幹線ホームへ向かったのでした。

583系、また会う日まで。

郡山1833→大宮1930
東北新幹線 Maxやまびこ126号
なかなか混雑していました。指定券を取っておいたのですが、2階席のようです。相当大きな車体断面ですが、このような2階建車両を走らせられるのも新幹線規格ならではでしょう。大宮までは約1時間。普通列車での長距離移動にある程度慣れてしまうと、ワープしたかのような感覚ですww

その後は湘南新宿ラインで渋谷まで南下。583系のボックスに座ってしまうと、E231系のそれは最早おもちゃ同然ww 道のりとしては会津若松を往復するのみという行程でしたが、土・日きっぷの元は取れましたし、何よりも磐越西線の583系を存分に楽しめたわけで、良き日曜日となりました。

写真:快速あいづライナー@郡山
583系が停車中。

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